メノリの事情
どうしてもメノリ視点を書いとかないと魅力が出ないのでさっと書きました。
基本真面目で幸薄いので暗いです。
私は両親を知らない。血の繋がった肉親も居るのか解らない。
産まれて間もなくフレンデ村の占い師の家の前に捨てられていたらしい。
理由は眼の色。
銀色の眼は魔を呼び寄せる魔眼だと忌み嫌う考えの人も少なくない。
この村もそんな住人がいて、災いをもたらすと猛反対されたらしい。
養父はわたしの資質を感じて反対を押し切きり私を育てた。
幼少の頃は眼の色のせいでイジメに遭った。
それが嫌で自然と眼を見られないよう伏し目がちになっていった。
そんな自分を変えようと、私は強くなるため全ての魔法を必死に覚えようとした。その姿を見てくれたのか、養父は厳しく、私を一人前にして跡継ぎにしようと全てを教えてくれようとした。
だが、養父は親としての愛情は注いでくれなかった。
ザザの街に初めて行った時、眼のせいで絡まれた私を助けてくれた人がザグブルさんだった。
街の警備隊長で、以後、私を実の娘のように可愛がってくれた。
愛情に慣れてない私は、それに応える感情が育ってなかったが、徐々に笑うようになった。
やっと普通の子のように振る舞っていけるようになった私だったが…
あの悪夢ですべてが終わった。
大事なものを失ったどころか、私が災いを招いたのではないかと思い、絶望の中もう死んでもいいやと気を失った私に希望を与えてくれたのがヨシユキだった。
異国の衣装を着た彼は大きくそして優しかった。
私の眼の色は彼には気にならないようだった。
何回か眼の色を見せるためジッと見続けたから間違いない。
言葉が通じないのは、かなり遠くの国なのだろう。
私の魔法にびっくりしていたので魔法のない国なのだろう。
でも私も彼以上に驚かされた。
魔法に欠かせない石を、しかも一番貴重な石をたくさん持ってた。
これがあれば村は助かったのにと少し悲しくなったけど、これでこれから人を助けられると生きる勇気が出てきた。
でも、魔法のないくにで石を探す冒険者というのは少し変な気がした。
彼は更に食べたこともないお菓子や食事を食べさせてくれ、私は悪夢を一時忘れた。
彼にはもう一人レイコと言う女性の同行者がいた。
恋人なのか肉親なのか解らなかったので、思い切って聞いてみたら彼の助手だった。
少しだけホッとしたけど、なぜホッとしたのだろう?
レイコが彼の話を誇らしげにするのを聞いて、彼女を羨ましいと思う自分に少し戸惑った。
村の人達の埋葬も何と彼が一人でやってくれた。
おかげで私の罪悪感と悲しみは和らいだ。
この事で私の彼に対する信頼が生まれたのがハッキリわかった。
驚いた事に、彼は石が光って見えると言う。
これから私が魔法で皆を助けるには彼の能力が必要だった。
確かにそれが私の生きる為の希望だった。
でも、それだけじゃないのが解ったのは、彼が居なくなったのを知った時だった。
私がザグブルさんの胸で泣き疲れて眠ってしまったばっかりに…
ヨシユキに心配かけたくないと我慢してたのに…
また大切になるハズの人に捨てられた…
一緒に行くって約束したのに!
でも私はもう泣くだけの子供じゃない!
私は私が強くなるための決心をしたのだった。
礼子嬢も書いといた方がいいのかな。