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少女(2)

ストックがないので、校正がマズいばしょもあるかと。文章って難しい。

どうも小腹が満たされると眠くなるのが人の常。

しかも昨晩の夜更かしが過ぎたせいか、ついウトウトとしてしまった。

直に睡魔に耐えきれなくなった俺は寝てしまった。




いつの間にか目の前の日の当たる洞窟の壁をぼんやり見ている自分がいた。



(ん?寝過ぎたか?)


一瞬もう朝か?と思った俺は、少女を眼で探すが見当たらない。


焦った俺は辺りを見回し彼女を探す。


と、あることに気が付いて間抜けな声を出してしまった。




「……ハァ!?」





そこは晶洞がある洞窟だったのだ。




(んー 何が何だか……)




外を見てみる。

燃えた集落は無いし

確かに車で来た場所だ。


日も傾いてきているが間違いない。


(あれはやっぱり夢だったのか?)


と思い始めた矢先、決定的事実に気が付いた。


(リュックがない…ベストも着てない… ……夢じゃなかった!?)


自分の服を嗅いでみる。

微かに煙の臭いがする。

間違いない。


しばらく考えてみる。

俺は段々と一つの推論に絞られていくのを止められなかった。

しかも、信じがたいがそれが結論であると考えざるを得ない 。

それを証明するための実験をする決意を固め、俺は再度採集した大きい水晶を手に握ったまま、洞窟の壁にもたれ複式呼吸を繰り返し瞑想するように目を閉じ意識を消していった。




鼻腔を煙の臭いが満たし、周りは暗い洞窟だった。

俺はもう驚かなかった。



目の前にはリュックと俺のベストを掛け眠る少女が居た。

勿論外は夜だ。

何故だか解らないが、あちらの洞窟とこちらのこの場所を意識を無くすことで行き来してるようだ。

それが水晶の何らかの力が働いているのかは解らないが。


ただ言えることは、身につけているものか触れているものしか移動……いや転移と言った方がしっくりくるか。


手に握った水晶を確認しポケットに入れた俺は、これからすべき行動を考え始めた。


一々寝なきゃいけないのが少し不便だが、一応自由に行き来できることで俺の中で余裕ができたせいか、

俄然この場所に対する好奇心が湧いてきた。

先ずはここがどんな所なのかを分析するため、俺は出口から外を見る。

下の集落は燃えつきかけており、炭になったのか赤い場所があちこちある。


(これならいけるか)

リュックからデジカメを取り出し、若干望遠ズーム側にして感度をISO3200に設定。

最後に露出を20秒に設定したあと、星空のある部分に向くよう固定してシャッターを切る。


洞窟からの視野が狭い中、乗り出してざっと星空を見た俺はある嫌な予感がしていた。


地学好きは星好きが多いらしいが、俺も小学生の頃から星が好きで、星の知識は相当なものと自負してる。


その俺がここの星を見て、星座が全く解らないのである。

ただ1カ所ボーっと光る場所があったのでデジカメで確認したかったのである。


撮り終えた画像を見て確信した。


(……こりゃ地球上じゃねぇな)


覚悟していたとは言え、ちょっと動揺した。

肉眼で確認できる星雲星団というのは、全天でも限られている。


勿論それらすべての天体の形は、子供の頃から飽きるほど見てきた本や望遠鏡で頭に刻み込まれてる。

カメラの液晶に映し出されたのは、見たこともない配列をした星が集まってる星団だった。

明るさや大きさは昴に多少似ているが、配列や色が全く違う。


星はそれぞれ固有運動しており、数千年、数万年で配列が変わる可能性は大いにあるが、星の色が変わるのは膨大な年数がかかる。


つまりこの星空は現代の地球では無い上、地球でさえない可能性が大だ。


ここが何処で何なのかさっぱりわからないが、他の星系の惑星か、はたまた別の次元の世界なのか……いわゆる便利で大雑把な言葉だが異世界と呼ぶしかない。


自分の殻に閉じこもりうだうだ考えてた俺は、薄暗い中、少女が目を覚ましジッと俺を見てるのに暫く気が付かなかった。


俺はリュックからLEDランタンを出し、スイッチを入れて初めて少女と目が合った瞬間ドキッとした。

黒髪でアジア人的な感じの先入観もあって、当然のように黒か茶の瞳だと思いこんでいたので、その銀色の瞳を見てすこし動揺してしまい、間抜けな一言を言ってしまった。



「お、おはよう……」


(…しまった夜だった)



そう言う問題でもないんだが、リアクションなく彼女にジッと見つめられ続け更に動揺した俺は、年甲斐もなくオロオロしてしまい、思わずポケットに入れていた水晶を取り出しハイってな感じで彼女に突き出すという意味不明な行動をしてしまった。



瞬間、彼女の視線が手のひらに釘付けになり、視線を外された俺は解放されホッとするのであった。

(なんて目力だよ)


なんか考えてることを見透かされそうな、そんな視線だった。


彼女の水晶への食い付は予想外に強く、手を左右に動かすと、まるで猫が動くものを追うように、彼女も手のひらの水晶をずっと追い続けた。


その動きが余りに面白ろかったので、あと2個をポケットから出しジャグリングしてみた。


彼女の目は更に見開かれ完全に水晶に釘付けになり、ついに耐えきれなくなったのか彼女は猫が獲物を穫るように両手で俺の手を水晶ごと握りしめて動きを止めた。


「ぷっ……ははははは」


俺は彼女のそのお茶目な行為についつい笑ってしまい、詫びるように彼女の手に水晶を握らせてやって、その手をポンと軽く叩いてやった。



すると彼女は自分の行為を恥じたのか、顔が見る見る赤くなって、またジロっと睨まれたが、そこにはさっきの目力は無かった。


俺が笑った事で彼女の警戒心も解けたようだ。


現状彼女がこの世界の重要な唯一の情報源である。



さっきは間抜けな挨拶をしてしまったが、まさか日本語が通じているハズがない。

どうやってコミュニケーションを取って情報を得るか考えてみる。


(どう考えたってジェスチャーしかないよなぁ…)


取り敢えず、食でコミュニケーションを取ってみる。



リュックからミネラルウォーターを出して、2杯分紙コップに入れ、先ず俺が一気に飲み干した後、


彼女に渡し飲むように勧めてみた。


水晶を大事そうに収めた彼女は、やはり喉が乾いていたらしく、一気に水を飲みほした後、紙コップを不思議そうに眺めていた。


ペットボトルを差し出し、もう一杯いる?というジェスチャーを理解した彼女は、首を横に振って返事をした。



彼女は不意に思い出したように水晶を取り出し、それを胸に当てて声を出ししゃべった。



「あなたは誰?」


その透き通るような声に思わず返事をするのを忘れる。


(やばい、俺の大ファンの声優にそっくりの声)



「おかしいな。通じてないのかな?」



彼女は困ったように口を小さくへの字にする。



すっかりその声に萌状態なってた俺は、声と口の動きが一致してない事に気が付き慌てて返事を返した。



「ああ、俺はヨシユキ。」



彼女は難しい顔をして、ハッとしたかと思うと、もう一つの水晶を取り出し何やら呟いた後、それを握るよう差し出してきた。


またまた信じがたいが、薄々それが洋画の日本語吹き替え機能を持ってると憶測した俺は、それを受け取りもう一度挨拶した。


「はじめまして。俺はヨシユキ。君は?」


「私は…メノリ。良かった。通じたみたいで…」


明らかにホッとした表情で呟く。


その声にうっとりしかかり、(声質は自分の願望が反映されるのだろうか?)

慌てて正気に戻りながら、俺は彼女を見つけてからのここまでの事情を説明する。


もちろん転移の事は省略したが。



すると見る見るうちに彼女の目に涙が浮かび、辛そうに目線を下げ両手が握り拳 になっている。



(やば、女の涙って苦手なんだよなぁ。コレじゃさっきの水晶の翻訳機能とか聞けないし~)



魔法の裏技が聞きたくてウズウズしてた俺は、何とかその好奇心を押さえ込んで彼女の気持ちを酌んだ質問をする。



「下の集落で何があったの?」



声を押し殺すようにして悲しむ彼女を暫くそのままにしておいて喋れるまで待つ。






「……んじゃった」




「え?」



「みんな死んじゃった…」




基本平和な日本でこんな惨事遭う事は先ず無い。


なので、どう慰めていいか解らない。

ましてや対女の子スキルの低い俺には、非常にハードルの高い難問だ。



声を押し殺すようにして悲しむ彼女を暫くそのままにしておいて喋れるまで待つ。



(マズいぞ、マズい)




完全に行き詰まった俺は、またもやリュックを漁って困ったときのアイテムを探すのだった。




(えーと、女の子が食いつくものといえば、スイーツだよな)



(そして山の食い物と言えばチョコ。)



全ての女性が好きであろうこのスイーツに賭けてみる。




「これ食べてみな」


と、チョコをひとかけら渡す。




俺が美味そうに食べたのを見て彼女も口の中へ入れる。



と、


彼女の目に少しの驚きと生気が戻る。


(よしよし)



「美味いだろ?」


コクコクと頷く。



俺は残りのチョコを全部彼女に手渡す。


「あんまり沢山食べると太るから……って君は痩せすぎだから沢山食べた方がいいな」


笑いながら彼女に注意する。



少しの間、美味しそうに彼女がチョコを食べる表情を見ながら、悲しみが少し和らいだと判断して、悪いと思いながらも本題を質問してみた。


「ちょっと教えてほしいんだが、この水晶は君が手を加えて言葉を理解できるようにしたの?」



ちょっと迷いながらコクと頷く。



「そういう事出来る人は沢山いるの?」



彼女はさっきより更に迷いながらも



「…村では私だけだった」


と答えた。




(なるほど。誰も彼もが魔法使いじゃ無いってこった)




「他にはどんな事ができるの?」



大分落ち着いてきた彼女は、俺の質問に解る範囲で答えてくれた。


まず、発動する力は、石の純度と大きさで変わるらしい。


勿論、発動者本人の才覚にも左右される。

発動できる力の分類は、総じて、

黒系の結晶は、呪いとかの力。

赤系は火。

紅は色恋。

青系は水。

緑は植物系。

紫は毒。

白は癒やし系。

透明は万能らしい。




何か解りやす過ぎな気もするが…。


彼女がさっき透明の水晶に食いついた訳がようやく解った。


水晶はほぼどんな色もあるのだが、俺の世界じゃ圧倒的に多いのが無色であるから、ある意味便利だ。

ただこっちじゃ無色が希少らしく、一番多いのは濁った白らしい。

次が紫で次いで黒、あとは似たようなものだとの事。

もちろん水晶以外の結晶も効果は同じだそうだが、産出量が少ないので装飾品として使われるらしい。

この辺りは俺の世界に近いようだ。


どうやら俺が持ってるより彼女が持ってる方が何かと役に立つようだ。

と言うわけで、あっちで最初に採取した一番良質で大きな単結晶を彼女に全て渡した。

その透明な単結晶を見た彼女の驚いた顔に満足した俺は、これから彼女に付いて行き、この世界を探検したいという願望と妄想にすっかり心を奪われてしまった。


因みに、透明水晶の単結晶は、5センチクラスなら一年間庶民が生活できるくらいの価値があるらしく、魔法媒体として無茶使いをしなければ10年は使えるらしい。


その後すっかり落ち着いた彼女に、俺が彼女の紐に付いてた胸元の白水晶を勝手に透明水晶に交換したのを知られた時、彼女が胸元を押さえながらムッと睨んだ後、俺の質問に対する態度が冷たくなった…。



弟子の礼子といいメノリといい、女の子はようわからん。

お気に入りに入れていただいた方の期待には応えられないかもしれませんが、自己満小説なんでご了承ください。

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