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能力全開?

やっと能ある鷹の主人公の能力発揮です

夜早く寝た俺は、自然と日の出前に起きる。

夜明け前の薄明、月を探すが見あたらなかった。

この世界には無いのかもしれないし、火星のように小さすぎて目立たないのかもしれない。

となると海の干満もないはずだ。

この世界に対する興味は尽きない。

何が待ってるのかワクワクする。

昔の開拓者はこんな気分だったのだろうか?

早くこの世界を冒険したくてウズウズしてきた。

抑えきれない興奮を諫めるため外に出て大木を登る。

相当な古木で下から見ると天まで届きそうな高さだった。

ささっと20メートルも登っただろうか、街の外の様子が一望だった。

フレンデ村は山で見えないが、東は平地で大きな都市が見える。城壁が何重にも重なっていて、小高い丘には城が聳えている。ぱっと見は数十万人クラスの都市か。


北は白い雪を頂いた山々が見え、円錐形の火山のような山も見える。山々にボーっと光場所があることに気が付いたが、街の明かりだろうと気にしなかった。


満足した俺は猿のように素早く地面に降り立つ。


調子に乗った俺は人のいないのを良いことに、宿の外壁を登って窓から帰ることにした。


お茶の子さいさいで二階の窓に辿り着いた俺は窓を開けて入る。


ん?


薄暗い中、誰かが俺のベッドにいるのを見つけた。


近付いてみようとした瞬間、全身が突然金縛り状態になる。と

動けないままいきなり見えない何かに壁に押しつけられた。

「な、なんなんだ!?」


狼狽した俺は情けない声を出した。


「ヨシユキ?」


その声を聞いた俺はメノリと確信して助けを求めた。


その瞬間体が自由になり床に下ろされた。


「何でヨシユキが私の部屋に?」


「は?」


どうやら俺は部屋を間違えてメノリの部屋に忍び込んで魔法で金縛り状態にされたようだ。

俺の予想以上の魔法だ。

体験してみて初めてわかった。



しかし



拙いぞこれは…


こんな所をあいつに見られでもしたら…


ハッ


と思わず入り口を振り返る俺。


そこには案の定あいつが立って俺をじぃ~っと見ていた。

全面降伏した俺は諦めて息を吐き、彼女から吐き出されるいつもの言葉を待った。



「…変態師匠」



(はいはい。師匠が付いて格上げですね…)






誤解だと何とか言い訳がましく2人に納得してもらった俺は、お詫びに朝ご飯を作ってご馳走することにした。


日本から新米を持ってきてた俺は、女将に厨房を借りて得意のパラパラチャーハンを一気に仕上げ、オムレツのように上に半熟の卵焼きを乗せて軽く醤油をかけ、インスタントコンソメスープにマヨネーズをかけた野菜サラダを付けて出す。


実質の料理はチャーハンだけだが…まあ早くできたんで良しとする。

メノリが初めてのチャーハンに戸惑ったのは最初の一口だけで、あっと言う間に完食して今は食後のお茶を啜ってご満悦のようだ。

俺はその姿を見て、よしよしと別な意味でほくそ笑んだ。

痩せすぎの彼女を太らせるため色々与え

よう作戦を実行中なのだ。



礼子の方は相変わらずの大食い競争状態で、

次々と口にチャーハンを詰め込んでは、スープで流し込む粗暴な食事をしながら直ぐに平らげた後、

またお代わりをして、しかもまだ物足りなさそうな顔で俺を見てこう言った。



「師匠は少食ですね」


(…おまえの大食い見たせいで食欲不振だよ…ってかおまえ基準だと皆少食だろ)


「…アメリカの大食い大会にでも出てみるか?」

「ご冗談を」



冗談と思われ心外だったので、信じてもらう為に帰ったら推薦状をテレビ局に送っておこうと決心した。



しかし朝からチャーハンはなかったが、お代わりするアイツはもっと無いわな。






俺達はこれからの冒険の為にミーティングする事にした。


先ずは日本から持ってきたスナック菓子を摘みながら話を進める。


約一名スナック菓子に夢中で話を聞いてない者がいるが…まあいい。



「先ず持ってきた銀貨じゃ不安なのでこれを換金するため引き取ってくれるところに行こうと思う」

俺は極上の水晶結晶と少し小さめの5センチの水晶玉を取り出す。


(何か何時にも増して輝いてるな…)




メノリが菓子を外して水晶玉に食いついてきた。


(やはりな)


銀色の目がきらきらと輝き釘付け状態だ。


「メノリ。こういった水晶玉は珍しいのか?」


「ヨシユキ凄いよこれ。こんなの見たこと無いよ。多分お偉い魔道師しか持ってないと思う。」


それを聞いた俺の口角がニヤリと上がる。


「メノリにはもっとデカいのを預けるから、魔法に精進してくれ。で俺達を守って欲しい」


メノリの眼を真っ直ぐ見て伝える。


「うん。わかった。ヨシユキとみんなを守るから!今度こそみんなを…」


「よし!」


頭をポンポンと軽く叩いた後、水晶大玉をバッグから取り出し彼女の手のひらに握らせてやる。


「ほれ」


彼女の眼がこれ以上ないくらい開いた後、魅入られたように固まってしまった。

まるでバシリスクに睨まれたようだ。




「師匠。私は何をしましょう?」



「そうだな…」



料理はダメだし、



「そうだな…」



大食いは役に立たないし、



「うむむ…」



ストーカースキルは高いがそれを生かす場面は思い浮かばない……



「……」



遂に黙り込んだ俺に彼女は自虐的な台詞を吐く。


「わかりました。師匠にとって私は使い道のないダメな弟子なんですね?」

しくしくとわざわざ呟きながら小さい丸椅子の上で膝を抱えて黄昏る。


(器用な奴…)


適材適所が分からないドラッガー泣かせの人材であった。



取り敢えず彼女は置いといて、気を取り直し話を進める。


無視ですか そうですか とブツブツ呟いてるが聞かなかったことにする。


「メノリ。この街に石を扱う店はある?」


水晶大玉を大事そうになでなでしながら考えてる。


「王都直営の魔法具のお店ならあるからそこで買い取ってくれるかも」


「王都?」


「うん。行ったこと無いけど凄い大きな街だってザグブルおじさんが言ってた」


地図を出し広げてみる。


すると、今朝木の上から見えた大きな街のことだった。以外に近い。


「そうか。なら石は王都で捌けばいいか」


何をみるでも無しに天井を向いて考えていた俺は、ふと違和感を感じて視線を地図に戻す。


地図の何カ所かが薄くぼぅ~っと光っているのに気が付いた。

蓄光塗料が光る感じだ。


「んんん?」


唸りながら身を乗り出し地図を凝視する俺に彼女等も釣られて覗き込む。


塗料が光ってるわけじゃない。

でも地図上のあちこち明暗はあるが確かに光ってる…


地図上の街は大体光ってるが、山や川にもランダムに光ってるところがある。



そして地図上の山の中腹の大きく強く光ってる個所を見た俺は突然閃いた。


「そうかっ!!」


「「ひゃきゃっ!」」


びっくりした彼女等が変なハモり方をする。

大声で叫んだ俺の側で身を乗り出して一緒に地図を見てた為の驚愕だった。



「メノリ!」



「は、はい!」



シャキンと背筋を伸ばして返事をする。



「この場所に書いてある印は何だ?」


地図上のその場所を指差し見るよう促す。


俺は強く光ってる場所に書いてある印を見てある確信を得ていた。その証明は彼女の答えにある。


覗き込んだ彼女は習ったことを思い出すように考え込んで、やがてきっぱりと言った。


「これは鉱山の印だと思う」



「やっぱりな!」


推測通りの結論を聞いてゾクゾクしてきた。



「…となると、俺は地図上でも石の位置が光って見えるわけだ」


とカミングアウトする。



「「エエエー!?」」


2人が見事にハモる。


(今のちょっと良かったな)


フェチが顔を出すがそれを抑え、もう一つの推論を証明するため俺は急いでバッグから銀貨を取り出し握った後地図を見る。


すると更に光る場所が増える。


首に下げた翻訳用の水晶を外してみる。


光る箇所が減るのがわかった。


ただし、ある程度薄暗いところでないと良く見えない。


ついでに新たな事実をカミングアウトしてみる。



「どうやら、その上鉱物の種類まで分類できるらしい…」


「「エエエエエエー!」」


さっきよりちょっと長いバージョンに気を良くした俺。



この地図上で強く光って見える所は、もちろん石一個二個の世界じゃないはずで、それこそ最低晶洞があるクラスだろう。

この能力があれば、未開の鉱山や晶洞もピンポイントで探索できる。

まるで人間鉱物レーダーだ。


興奮してきた俺は思わず立ち上がって叫んだ。


「これで欲しい石は選り取り見取りの取り放題ジャマイカァァァァァァ!」



「ヨシユキすご~い!」


「さすが私だけの師匠!」


何か変な台詞が聞こえたが、有頂天の俺にはどうでもよかった。

ハイテンションの中、皆で地図に情報を書き込み宝の地図を作製するのに夢中の俺たちだった。









俺はこの能力の重要性を深く考えず軽視してたのを後々後悔することになる。

ぼちぼち魔法とバトルも出してみようかななんて、キャラが勝手に話を進めるのでわかりませんが。

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