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再会

盛り上がりませんが、今しばらくご了承下さい

彼女と抱き合った…



いや、礼子嬢がしがみついた状態で転移した俺達が先ず見たのは、洞窟に貼られた何か書かれてる紙だった。


触って翻訳された文字はこう書かれてた。


『ヨシユキのバカ!』



翻訳魔法具は礼子嬢も持っている為、彼女も読んだようで、やれやれと言った表情だ。


殆ど無表情だったが、最近何となくわかるようになってきた自分が恐ろしい。


色んな意味で…


「礼子くん。何で俺は怒られてるんだろう?」


訳が分からず彼女に聞くと、彼女もまたこうのたまった。



「師匠は馬鹿ですか?」


今のはちょっと憐れみの表情だ。



………


軽く鬱になる俺。



「…もう馬鹿でいいわ」


女はわからん。



アニメで『あんた馬鹿?』と罵られ続ける主人公の気持ちが今更ながら良く分かった……煮え切らない主人公がイマイチ好きでなかったアニメだが、今なら彼を理解し涙するかもしれない。もう一度見てみようと思う。


俺達は今は無きフレンデ村の跡に建てた簡単な慰霊碑にお線香をあげ祈った。

やはり日本人としてはお線香をあげないと祈りが通じない気がしたので、1つやり残した事が減り少し肩の荷が下りた気がした。


さあ、次の目的であるメノリとの再開だ。


何かメノリが怒ってるようなのが気がかりで気が重いが、会える方が楽しみではある。


特に声が…っと、礼子嬢に変態呼ばわりされるので悟られないようにしようと気をつける。


街道の道すがら、さっきの貼り紙が良く見えるポイントに等間隔で貼られてるのを見つける度に、俺のテンションが下がっていくのがわかった。


仕舞には似顔絵と名前入りである。

オマケに懸賞金まで掛かっている。



(…俺は犯罪者なのか?)



歩く度にどんどん不安が増して、とうとう俺の足は止まってしまった。




「礼子くん。やっぱ別の街に行くか?」


と相談してみる。



俺を見る彼女の眼がまた冷たくなった。


「師匠は馬鹿でヘタレですか?」


ヨシユキはヘタレになった。


なぜかゲームでレベルが下がった時のような音が聞こたのは気のせいか?


彼女の、どうしょうもないという無表情の憐れみが更に追い討ちをかける。


「はいはいもう馬鹿でヘタレで構わんよ…」


街道をすれ違う人がチラチラと俺の顔を見てる気がしたので、以後フードを被って俯くようにして歩いた。






ザザの街に着いた俺達は検問所でメノリの懐いてたオッサンを見つけた。


俺達を見つけたオッサンは外国人のように体ごと抱き合う挨拶をする。


礼子嬢はちょっと嫌な顔をしたようだ。


俺は両手で握手するようにして会話をする。


「またお会いできて光栄です。メノリは元気にしてますか?」


オッサンの名前はザグブルと言うらしい。


魔法具を解ってるようで、手を添えたまま答える。


「それがなぁ。あんたがおらんようになって、わしはえらく責められてなぁ。じゃがこれでメノリの機嫌も良うなるわい」


礼子嬢も俺の腕を掴んで会話を聞いていたが、自己主張するように会話に参加してくる。


「で、メノリさんはいらっしゃいますか?」



「それがのぅ、紙の束を持っては朝から出て行くんじゃ。で、夕方戻ってくる毎日よ」


それを聞いてまた軽く鬱にる俺。


だけど、メノリが一人で出掛ける事をザグブルさんは心配な風は微塵も装ってない様子。


その疑問をぶつけてみる。


「メノリちゃん一人で危ないんじゃないんですか?」



「…ああ。メノリはああ見えても全ての系列の魔法を習得しておるし、どこで見つけたのか知らんが、でっかい魔法石を持っておっての、あの石がありゃわしなんか足元も及ばんくらい強いぞ」


あの石は俺が譲った物に違いないだろうが、石の大きさも魔法の強さに関係するのは初耳だった。


整理すると、透明水晶は全ての系統の魔法が使え、しかも大きさと純度で魔法力も変わるって事か。


(こりゃあ持ってきた10センチの水晶玉はとんでも価値になりそうだぞ…ふふふふひひひ…)


気が付くと周りが変な目で俺を見ていた。

俺の腕を握ってた礼子嬢は、手を上に上げて離してる。

どうやら最後の方はまた声に出してたようだ。

今後は気をつけよう。


取り敢えず宿を取るため、ザグブルさんにお任せで案内してもらう。

街一番の旅籠で女将も美人だそうだ。


旅籠に着いた俺は噂の美人女将に銀貨5枚を渡し部屋の鍵をもらう。


すこし楽しみにしていた女将を見た感想は、


美人の基準は国や世界や人種で変わるもんだという事だ。


彼女は…そう…かなりふくよかだった。




ザグブルさんに、メノリにこの場所を伝えてもらう約束をして俺達は二階の部屋に向った。


「おかしいな。1部屋しかないな。ベッドもダブルだし…」


礼子嬢が冷たいジト目で俺を睨む。


「師匠。私をどうにかしようと企んでませんか?」



「い、いやコレはきっと手違いだ!断じてそんな気はない!」


きっぱりと誠実に下心無く否定したのに彼女の眼が更に険しくなったのは何故だろう?


またもや謎が増える。


すぐさま女将に事情を説明し部屋を別にしてもらった。


やはり女将もザグブルも礼子嬢とはそう言った仲だと思ってたようだ。


やれやれだ。



部屋に入り荷物を置いて好物の洋酒入りチョコをかじりながら、暫くこれからの事を考えてたらついウトウトしてしまったらしい。

ベッドに腰掛けた状態で頭を垂れてた俺は階段をけたたましく駆け上がってくる音で目が覚めた。


足音が俺の部屋の前で止まって、バンッとドアが開けられた。


メノリが泣きそうな表情で俺の方に飛び込んできた。


「ヨシユキのバカァァァァァァ」



グフッ


メノリのダイビングヘッドパットが鳩尾に入って息が詰まった俺は勢いそのままベッドに押し倒された。


「ひっく…もう…置いて…いったら魔法でぶっ飛ばす…から…ひっく」


すでに魔法以外でぶっ飛ばされた俺に被さって泣きながら喋る。


(い、息が…)



その後彼女から色々と文句を言われながらも、不謹慎ながらその想いに俺は胸がジーンとしてしまい、しかもその声と相まって萌えが芽生えそう…



「…変態」


開いたドアから覗く礼子嬢がぼそりと呟いたのだった。


その罵りで俺が少しの間固まってる隙に、メノリが目ざとく洋酒入りチョコを見つけ俺の手から強奪してすぐさま頬張る。


「おいひぃよぉ~」


眼がトロンとしてる。


「おいっ!それは酒入りだぞ」


「いいもん。飲めるもん」


何かテンションが変な彼女。


こっちの成人はクリアしていて酒は飲めるらしい。

彼女の年齢が解らなくなる。

見た目と違うのか?

良くありがちなエルフだと解るんだが、魔女ってのもそうなのかな。


恐る恐る聞いてみる


「メノリって何歳なんだ?


チョコ効果か酒効果かで変に落ち着いた彼女がちょっと躊躇しながら答える。


「18」

…何だと?



いやいや

冷静になって考える。


ここの1日と1年がわからない現状、判断に苦しむ…

もしかしてここの1歳は短いのかもしれない。


となると18も有り得るが…

バラエティーで良くやってるが、確かに小学生みたいな主婦も居るには居る…



まあ今考えても良くわからんから見た目でいいかと納得することにした。

今度詳しく調べてみよう。




何だかんだで腹が空いたので、彼女らを食事を誘い下の食堂に下りる。

もちろん俺のおごりだ。

金貨のお陰でプチリッチになって気が大きくなってる。


メノリも俺の石を売れば大金持ちなんだが、彼女はそんな気は微塵もないようだ。

食堂の料理は女将の体型に似た豪快で大雑把な料理ばかりだった。


しかも量が半端ない。


野菜は、かき氷のようにどんぶり一杯山のようになっている。

肉は肉でまたそんな感じ。


魚もナン?のようなものもそうだ。


つまり単品バイキングみたいだ。


味付けは塩だけのよう。

卓上にも塩しかない。


塩もいいが飽きるので、二階の荷物からコンビニで買っていた携帯用醤油とラー油と一味とマヨネーズを持ってくる。それを見た礼子嬢


「師匠。尊敬します」

と無表情で賛辞を表す。

そこは多少でもキラキラした目で言って欲しかったが、師匠としての威厳が少しは回復したならそれでいい。変態呼ばわりよりはマシというものだ…


礼子嬢は早速生野菜にマヨネーズを掛け始めたと思ったら、揚げ物焼き物全てにマヨネーズを掛けやがった。そして無表情ながらも先程より食が進んでパクパク食べ始めた。


さぞかし美味いのだろう。


だが、ステーキにマヨネーズは…


「れ、礼子くん。それは美味いのか?」


「はい。最高の組み合わせです(はあと)」


ご丁寧に(はあと)と言葉にするほど美味いらしい。


それを見てる俺の表情が苦々しいものから生暖かいものに変わるのが自分で分かった。


彼女がこの世界に順応するのも遠くなと思った。

いや、訂正する。

どんな世界でも順応するだろうと。


こいつの手料理は絶対食べるまいと誓った。


こいつの行きつけの店にも絶対行くまいと誓った。


メノリが興味深そうにその様子を見てステーキにマヨネーズを掛けようとしてい…



「掛けるなぁぁぁっ!」


マヨネーズを奪い取る。



「でも礼子さんがあんなに美味しそうに…」


「い、いや、あれはちょっと味覚障害だから…真似たらダメになるぞ」



それを聞いた礼子嬢が猛反発する。


「ひひょう!ひろいれぶっ!ひはふひょうはいははんへっ!ぶっ」


翻訳魔法具でもわからない言葉を喋る。



「口に一杯詰めたまま喋るなっ!って食いカス飛んできただろっ!汚ねーよ!ったく」


マナーのマの字の欠片もない彼女を真似てはいけないとメノリに言い聞かせる。


「あんなふうになるんじゃないぞメノリ…ああなったらもう誰にも治せないんぢゃ」


お婆のように諭す俺。

「ひひょう!ひろ…うむぐんんんんんー!


後半は俺があれの口を手で塞ぐ。


手が汚れたし…



「これを肉や魚にかけると塩と違ってまた美味いぞ」


と彼女の手に醤油を握らせる。


「マヨネーズは野菜にかけると美味い」


メノリはその味に満足したようだが、相変わらずマヨネーズをチラチラ見てるのは礼子嬢の悪影響が残ってるようだ。


あいつはメノリの教育に悪いので極力同席させないようにしよう。


「ひろいひろい」とブツブツ呟きながら、相変わらず変な食べ方をしてる礼子嬢を見ながらすっかり食欲の無くなった俺だった。

次回から主人公の威厳を取り戻させたいなぁと

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