コンビニ・オブ・ザ・デッド
場所は一変して『Fマート』麹屋町支店。ここも屍人達で荒れていた。
町内で美人店長と噂の、大城菖蒲支店長が働いていた。百七〇をほこる身長とスレンダーな躰。四二歳を迎えた今もって、その美しさは衰えていなかった。そんな『酔いも甘いも知った美人で気立てが良い』女が、今日は大いに荒れていた。
「ハカタ、マチダとフジタば看とけよ!」
と、菖蒲支店長が『黒い城壁』と呼ばれている彫り深き混血のバイト生、ハカタに指示を飛ばした。空手有段者のハカタだが、今は仲間を看護中。
支店長と同じように荒れている美人が、ここにもひとり。名はヤマサキ。美貌の中に冷たさを秘めた、細い卵顔の女で、額を出して後ろに髪を束ねていた。身長は、菖蒲と並ぶ。
女二人が、次々と迫り来る屍人達を、殴って蹴っては投げ飛ばして、叩き付けたり、時にはコピー機に挟んだり。そして極めつけは、電子レンジによる時限爆弾を駆使して屍人達を撃退してゆく。しかも、一撃一撃が強力な技で。
ヤマサキの投げっ放しボディスラム。
菖蒲支店長のチョークスリーパー。
ヤマサキが高角度のジャーマン。
支店長のブレンバスター。
ヤマサキが高精度のムーンサルトキック。
支店長の蟹鋏からSTFへ。
ヤマサキ、かわず掛け。
支店長、顔面に渾身の延髄蹴り。
ヤマサキのウェスタンラリアット。
支店長のパワーボムが頸椎を破壊。
ヤマサキがDDTを炸裂。
菖蒲支店長のドラゴンスリーパー。
ヤマサキの全力のドロップキック。
支店長、ココナッツクラッシュ。
ヤマサキのジャンピングニー。
菖蒲支店長が人間風車落とし。
ヤマサキのスコーピオンデスロック。
支店長のオクトパスホールド。
そして極めつけ、菖蒲支店長とヤマサキとによるツープラドン。ダブルラリアットから繋げて、両側からのドロップキックでファイナル。
店内で暴れていた屍人どもが、ついに全滅したことを確認したそのとき。
「君達、何をしている! 早く避難するんだ!!」
「あの、どちら様で?」
と、菖蒲支店長が訊いた。
すると、武装姿の男が。
「我々は、『地球防衛隊』です! さっ、早く」




