表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/25

沈黙のデッド


 瀬峨神父は襲いかかって来る屍人達を、次々に投げ飛ばしたり折ったり捻ったりしながら、自家用車へと怪我人含めて住人達を次々に乗せてゆく。

 小手を取り、腕を回して頸椎を折る。

「あんさん神を信じまっかー?」

 二体の小手を捻り投げ倒して、頸椎破壊。

「あんさん神を信じまっかー?」

 小手を取って、後ろの三体めがけて投げる。

「あんさん神を信じまっかー?」

 拳を流して首を取り、頸椎を破壊。次の屍人の腕を取り、背中側に回して首を折る。

「あんさん神を信じまっかー?」

 腹、胸板、頸椎、顔面にへと手刀を打ち込んでゆき、蹴り飛ばして。

「あんさん神を信じまっかー?」

 顔を仰がせて、折る。流れるように捻り投げ飛ばす。続いて、首を取り横に捻り折る。

「あんさん神を信じまっかー?」

 ラリアット、上段横蹴り、喉輪と打ち込んでゆき、三体それぞれの頸椎を捻り。

「あんさん神を信じまっかー?」

 抵抗虚しく次々と倒されてゆく同士達を、見ていた他の屍人達は恐れをなして怯えて逃げ出していく。目の前でも、計二〇体近く葬られた。

「うっ、うわー! 化けもんじゃぁ!」

「何なんや、このオッサン! 神父はんやろ!」

「かなわん! かなわん!」

 屍人、喋る事が出来たのか。


 窓越しから瀬峨神父の活躍ぶりを見ていた蝶子が、拳を振り上げ叫んだ。

「神父はん、最強やな!」

 末娘の喜ぶ姿の後ろで、虎子に京と瓜子に鹿子の四人は、残った怪我人の応急処置をしていた。この四人にも神父のひと声ひと声が聞こえていたらしく、表情にはっきりと半笑いを浮かべていた。

「虎ちゃん、何やのー!? あん神父はん投げるたびに『あんさん神を信じまっか?』って。 ―――ぷふっ……!」

「ミヤちゃん、わろたらあかんよ、笑たら。―――ぷふっ……!」

「お母んもミヤコはんも、失礼やなぁー。……ぷふっ。あん神父はんは真剣なんやで」

「あーっもう、何やの!? あのオッサン!―――鹿子、お前まで笑てるやん! がっ……我慢出来へん……くく」

「あ、アンタら、人ん好意を笑たらあかんよ……くくく……」

 虎子の注意も虚しい。女四人、応急処置もままならない。瀬峨神父は次々に住人達を自家用車に乗せてゆき、市民会館へと運んでいく。黙々と、ただ黙々と。そして残るは、難波家の女五人のみ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ