思考と願望
もうひとつの作品のサイドストーリーです。
『神など、この世界に存在するハズがない。』
たった16年という、短い人生だったが俺はこの事だけは学んだ。
神山 灰(コウヤマ カイ) は薄れていく意識の中でふとそう思った。
あぁ、死ぬのか。
いやだなぁ、俺ニュースに出んのかな。
『高校生男子 虐待によりベランダで死亡』
なんて、シャレになんねーな。
多分、そのニュースを見たやつは全員こう思って笑うぜ
『高校生にもなって、親の暴力から逃げられなかったのか。」
ってね。
そうだよな。
よく、ニュースに出る話としては 、小学生くらい
中学生で、もう結構珍しいってのに高校生かよ。
あぁ、中学の時に死んでおくんだったなぁ。
腹、減ったな。今日で何日めだっけ?
飯食ってねーのは。
あー、お腹一杯なにか…甘いもの食べたかったな。
ついでに、恋でもしたかったし、いろんな洋服も買ってみたかったし
温かい布団に寝てみたかったし、旅行もしてみたかった。
妄想するのだったらいいだろう。
だって、もう死ぬし。
友達の家にお泊まりとか、憧れだったな。
あ、俺友達いねーじゃん。
携帯で遊んだり、ゲームしたり、そんな事もしたかった。
それらは、全部叶わなかった。
このまま生きていたって叶わなかっただろう。
このまま生きていたところで、体中の傷が増えるだけだ。
ならいっそ、死んで生まれ変わった方がいいのかなぁ?
ありがとうございました。