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生まれ変わってもスラムでした  作者: 灰原ノア
スラム編

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幕間 ミラ視点

 あの子は、生き残る方法を知っている。


 初めて見たとき、そう思った。

 パンが投げられた瞬間、真っ先に飛び出さなかった。

 目だけ動かして、距離と人の配置を見ていた。


(……無駄に前に出ない)


 殴られる子は、決まっている。

 力を信じて、周りを見ない子。

 正しいことをしようとする子。


 あの子は違った。


 取ったのは、最後。

 しかも、殴られない場所で。


(生き残る側のやり方)


 ゴミ山に行くのを見たときも、止めなかった。

 止めても、聞かない目をしていたから。


 拾い方が、雑じゃない。

 使えそうな物だけを、迷いなく選んでいる。


(前に、大人を見てた?)


 露店でのやり取り。

 値段を聞く声は低く、余計なことを言わない。


(感情を切ってる)


 孤児が絡んだとき、あの子は殴られなかった。

 でも、次は分からない。


 だから、口を出した。


(助けたわけじゃない)


 露店が閉じたら、私の取り分も消える。

 それだけだ。


 パンを差し出されたとき、少しだけ困った。


(こういうの、慣れてない)


 借りは嫌いだ。

 借りは、必ず首に巻きつく。


 だから条件を出した。


 三日。

 短くて、切りやすい。


 もし裏切るなら、三日以内。

 信用するなら、それから。


 路地裏に戻りながら、思う。


(……多分、この子も一人だ)


 独りで生きる顔をしている。

 それが、少しだけ

 昔の自分に似ていた。


 ミラは足を止めず、影の中へ溶け込んだ。

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