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生まれ変わってもスラムでした  作者: 灰原ノア
王都裏編

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33/71

幕間 合理派会議録

 帳簿の紙をめくる音だけが、部屋に残っていた。


「対象番号、二七―四。処理結果は?」


 白髪混じりの男が、顔も上げずに尋ねる。

 名前は呼ばれない。必要がないからだ。


「爆発は予定どおり発生。周辺被害は最小。

 回収班は接触せず。現地確認は不要と判断しました」


 淡々とした報告。

 声に感情はない。


「遺体は?」


「未確認です。

 記録上は“死亡推定”。行方不明扱いで問題ありません」


 男は、ペン先を止めた。


「推定でいい理由は?」


「生還率が基準値を下回っています。

 探索コストが、回収価値を上回ります」


 即答だった。


 別の席から、短い補足が入る。


「仮に生存していた場合でも、

 既に切り捨て対象です。再利用価値はありません」


 沈黙。


 男は、帳簿に一本線を引いた。


「処理完了とする」


 それで終わりだった。


 誰も、名前を確認しなかった。

 誰も、後処理を提案しなかった。


 会議は次の案件へ移る。


 その裏で、

 一つの命が「誤差」として確定した。

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