コーヒーブレイク
サダノブが美人と接点を持ち始めていた頃、ここは畠山家のリビング。
母と妹がお茶をすすっている。
「気付いたかなぁ、お兄ちゃん?」
妹が尋ねれば
「どうかなぁ…そっち方面は、朴念仁だから。」
母がニコニコしながら答え
「「そうなのよねぇ…。」」
二人して、深いため息をつく。
「とりあえず、持たせた紙袋の意味を理解してくれれば…」
妹が半目になり
「無理ね。」
母も半目になる。
サダノブの手に持っている深緑の紙袋には「Les Macarons Parisiens」の文字が躍っている。
「まったく、どこであんなに恋愛音痴を拗らせたかなぁ~。」
妹が湯呑みを起き、後頭部へ腕を回す。
「あら、あんたが『私、お兄ちゃんのお嫁さんになるぅ!』とか言って大騒ぎしたのがきっかけよ♪」
「!!!」
お母さんニコニコ、顔から火が出るのではと思われるほど赤面する妹。
「じょ、冗談よね?」
赤面したまま母に問い返す妹。
「さぁ~て、どうでしょう?」
悪戯っぽく笑う母。
「も、もぉ~!」
吃る妹、心に秘めていた物が露骨に発露し混乱気味になっている。
「まぁ、あんたも男同士を拗らせた原因がそれなんだから、仕方ないでしょ?」
軽く停めを打つ母に大人しく頷く妹。
「しかし、アカリちゃんも物好きよねぇ。」
左頬に手を当て困った顔をする母。
「そお?私は、アカリお姉ちゃんなら大歓迎だけど…。」
自分から話題が剃れたので、急に元気になるゲンキンな妹。
「朴念仁に変人さん…」
湯呑みをおいて指を曲げる母
「変人言うなし!」
変人に反応する妹
「よくもまぁ、こんな拗らせ兄妹の相手をする気になったものよねぇ。」
頬杖をつく母
「あら、それは大丈夫よ、お母様。」
両手を胸の前で合わせ、お目々キラキラ(当社比2倍!)の妹
「その時は、男同士を卒業して女同士に引っ越します!」
声高らかに宣言する妹…しかも、オペラ俳優顔負けのすんばらしい所作を共なって!
「はいはい。」
そんな娘を満足そうに眺める母親であった。




