ロンゴロンゴ文字(イースター島)の日本語解読
イースター島(ラパヌイ島)を南太平洋で最初に発見した西欧人は、オランダのJacob Roggeveen提督であり、1722年、4月5日の復活祭 (イースター)の日曜日だったので、島にこの名前がついた。この時、モアイの像を発見。そして1888年、この島はチリ共和国に併合された。
ロンゴロンゴ文字が発見されたのは、1866年。仏領タヒチで、フランス人の司教が、イースター島民の贈答品の中から発見したらしい。発見当時、朗読出来るとした島民はいたが、書かれた内容は理解できず、むしろ研究を迷路に誘い込んだ由で、いまだに未解読である。
その後、炭素14による年代測定が行われた結果、最も古いものは、17世紀の初頭に作成され、この文字は1860年代まで実用されていた由。(この島に人が移住したのは、1200年頃)
1932年には、Guillaume de Hevesyが、インダス文字が、イースター島のロンゴロンゴ文字と酷似する旨の論文を書き、この類似性は有名な話となっている。然るに最近、インダス文字が、日本語として解読可能と判明したので、ロンゴロンゴ文字について、やはり日本語として解読する可能性につき究明する事とした。
扱った原典は、大城道則編著「図説 古代文字入門」(河出書房新社。2018年)の121頁、図11に登場する木箱で、通称「パリの嗅ぎタバコ入れ」(Paris Snuff Box)。選んだ理由は、箱の蓋の文字列の中に、三日月の記号が4つ連なり、「つきよ」と読めた気がしたからである。
Rongorongo text Y で検索すると、木箱を展開した写真等が登場するが、この木箱の全ての側面に記述があり、末尾のImage Galleryでは6つの側面が、a-fに識別されている。これに従えば「図説 古代文字入門」に登場する側面は、(a)、(d)、(e)であり、この3つの側面につき、取敢えず日本語に解読した次第である。
文字を読む方向は、ロンゴロンゴ文字の場合、行毎に記号の向きが上下逆になるので、一行読み終える毎に方向転換し、次の行を読む「牛耕式」と言われ、古典ギリシャ語やエトルスキ語に見られる方式との由。この原典では、途中で「さかさ」等の言葉が登場するので、その都度、文字列を180度回転させて読み続けた。そしてこの方式で、左右の双方向から読んだ。(インダス文字や線文字Aの場合、一行毎に、プールで一つのレーンを往復する様に、左右、双方向から読むところ、同じルールを適用した)
(注)なおこの島の神話によれば、主神マケマケは、ヒョウタンから赤い肉と土を取り出し、三人の男と一人の女を作り出した。然るに中国雲南省などに住む、ワ族の神話でも、人間はヒョウタンから生まれたとされており、ワ族は倭人に通じる、との学説もあるので興味深い。
(参考文献)
鈴木篤夫「イースター島の悲劇」(新評論。1999年)
竹内均編「ニュートン別冊 古代遺跡ミステリー」(教育社。1993年発行)
E.ドーブルホーファー「失われた文字の解読 III」(矢島文夫、佐藤牧夫訳。山本書店。1963年発行)
Samuel Rapport, Helen Wright (edit.) 「Archaeology」(New York University, Library of Science), Washington Square Press, 1964.
I. 箱の蓋(a)
1.真ん中の行
中央に、男が両手足を大きく開き、顔を上に向けて口を開いた姿の記号があり、「おとこわ」と読むほか、同頁を90度、反時計回りに回転させた場合、イヌを「開き」にした姿に見えるので、「イヌひらき」と読んだ。その右隣の記号は、杯を逆さにした形。この記号まで来たら、箱を180度回転させる。楕円形の二重丸は、クレタ聖刻文字風に「出目」/「めで」。端の馬蹄/舌の形の記号は、「した」。
(左から)つきよ に わ いぬひらき さかずき(逆転)めで たし
月夜には、宴開き、杯めでたし
(右から)(箱の蓋を上下逆にした上で、左から読み始める)
した めで さかずき(逆転)のみほせ おとこ に つきよ
下まで杯を飲み干せ、男につきよ。
2.下の行(箱の蝶番寄り)(本の頁を元の方向に戻す)
左端の記号は、クレタ聖刻文字と同じ様に「二・台・目」と読む。その右隣、3連の菱形を縦棒で貫いた記号は、「みつびしや」。更に右隣は、頭を上げ、口を大きく開くオロチで、尾が二股に分かれている。その右隣は、オロチに飲まれる男。この記号で、文字列を180度回転させる。すると魚の記号に続き、繋がった目玉は、「まめに」。端の記号は、3つの栗。
(左から)2だいめ みつびしや にまたのオロチ のまれおとこ さかさ
(逆転)さかな まめに みつくり
2代目の三菱屋に、又の卸業の、希な男。そうかな、まめに身繕いを。
(右から)みつくり まめに さかな(逆転)おとこ にまたのオロチ みつびしや にだいめ
荷作りをまめに。盛んな男に、又の卸業。三菱屋の2代目。
3.上の行(箱を上下逆にして見る)
左から3つ目の記号は、コブラと見做して「たつみ」(立つ巳)。
「×」の記号は、インダス文字風に読んで「まけ」。
その右隣は、「わ」+2つの「し」に加えて、「えん」。
右隣は、2つに折ったサメ、あるいは横にした、カブト。
右端は「横 ウサギ たち」あるいは「トリ」。
(左から)みつめ いのる おとこわ たつみ まけ わしにえん さめおる 横 ウサギ たち
見つめて祈る男。海神 (わだつみ)。負けは死に縁。
サメおる横に、ウサギたち/サメ追うよ、小サギ達
(右から)トリ かぶと わしにえん まけ たつみ いのるわ めんみつ
トリカブトは、死に縁。負けた罪。 祈るわ、綿密。
以上、1から3まで繋げれば、次の通り。
「月夜には、宴開き、杯めでたし。下まで杯を飲み干せ、男につきよ。2代目の三菱屋に、又の卸業の、希な男。そうかな、まめに身繕いを。荷作りをまめに。盛んな男に、又の卸業。三菱屋の2代目。海神 (わだつみ)見つめて祈る男。負けは死に縁。サメおる横に、ウサギたち/サメ追うよ、小サギ達。トリカブトは死に縁で、負けた罪。祈るわ、綿密に」。
「サメおる横に、ウサギたち」が正しい場合、「因幡の白ウサギ」を助けたオオクニヌシの伝説を想起させるので、日本語民族を主張し、ルーツを確認する目的で挿入したのだろう。
因みに中国では、東西南北を守る霊獣として、北の玄武、東の青龍、南の朱雀、西の白虎がいた。然るに、因幡の白ウサギ伝説のウサギ(卯)は、12支の中で東を示す動物なので、中国で東を守る青龍 (ワニ)と競合して苛められ、小島から小島へ、東方向に逃げてきたと解釈出来よう。
II. 箱の側面(dとe)
1. 左から右へ
121頁の写真で、木箱の側面の文字列につき、左側の短い辺から、長い辺に向かって反時計回りに並べ、絵文字と解して日本語に直せば、次のとおり。因みに縦長の長方形は、インダス文字の発想で「な」。
(短い辺、e)すき たがやす ひととり わ ひき/こぐ
(長い辺、d)に おとこ やりたて にらむ さめひらき な まけ おんな
繋げて解釈すれば、
「好きだが安いと、一通りは引きに。男は、やりたくて睨むのさ。目開きな、怠け女」。
2.右から左へ
上記の文字列を右端から左方向に読み、解釈すれば次の通り。
「女、負けんな。目を開き、睨む。やりたくて男に憧れる。一人耕す、好き」。
以上を繋げれば、次の通り。
女は、「好きだが安い」と、一通りは引きに。男は、やりたくて睨むのさ、「目開きな、怠け女」と。女よ、(そんな男に)負けるな。彼女は目を開き、睨む。やりたくて男に憧れる。そして一人耕す、「好き」と。