◆ 13・カエルはどこに? ◆
「それでカエルは無事なの?」
これには前提条件があると思う。
私の為に喰われたのなら、無事生き残ってくれないと『私の為』にはならない。ただの自己満ヒーロー気分で喰われたとしたら、百年の恋も冷めるというものだ。
カエルに限って、そんな勝算のない事を選ぶとも思えない。
「意味のない質問に答える気はねぇぞ? 喰われたメリットを聞けよ」
「……メリットは?」
「互いの情報状態共有だ。喰うのが一番早いからな」
情報? 状態?
「意味が分からねぇって顔してるな。お前らが魔女の園でした事だ」
またも知らない言葉が出てきた。
『魔女の園』とはどこの事だろうと考えてみれば、一つだけ心当たりがある。
「オリガの、あの空間の事?」
「おう」
あそこでした事といえばアーラの過去を見たくらいのものだ。
「本来、魔女の園は俺様たち悪魔には干渉できない世界でな。抜け道が、体験者を食う事なわけだ。ああ、言葉の意味通り、バリバリと、な」
「バリバリと?!」
「おう。別に肉食がダメだなんて言った覚えねぇぞ?」
言葉を失う私の代わりにライラが口を挟む。
「ですが殿下はバリバリしてないんでしょう?」
「おう」
まさかルーファが肉食OKだったなんて……。やっぱり今現在、カエルはルーファの腹に……。喰われて……。
いや、考えてみればそうよね? あのイノシシにしたって見事な焼きっぷりで食欲をそそる調理具合だった。そうよ、肉食じゃないなら、あんな丁度良い焼き加減に出来る? なんで気付かなかったんだろう。
「つまりな、チャーリー。俺様とアレックスは契約したんだよ」
悪魔と契約。
契約という言葉がズシンと胸の内に落ちる。カエルの無事を伝える言葉でもあり、新たなる地獄展開への言葉でもある。
魔王と契約をした私には分かる。引き換え条件があったはずなのだ。
「俺様は、あの空間での出来事が知りたい。カエル王子様は打開策の為に悪魔を知りたい。利害の一致ってやつだな」
「待って、ルーファ」
「お陰様で、お前らが体感した事が俺にも見える。あんのクソ魔女を始め、アレックスにマーキングした天使の顔もな」
「ルーファ!!」
大きな声であげて遮る。
「契約って言うからには、条件があったでしょ。引き換えはなんだったの?」
彼は肩を竦める。
「そりゃお前、悪魔にだって守秘する義務があるんでな。漏らせねぇよ」
予想通りっていえば予想通りの言葉だけどっ。
つまり今のところ分かってるのは、悪魔の内情を知りたいアレックスと、オリガとの会話をチェックしたいルーファが利害の一致。
アレックスはルーファと契約した上で食べられたって事くらいか。
いや、待って……。
「契約者って事なら、カエルの無事は確定。なら、いつ戻るの? むしろあんたが王子のフリしてて、今後どうする気なの?」
むしろカエルには託宣の関係性から人型になる事自体がアウトだったような?
なにせ、カエル王子アレックスはカエルである事を理由に王位継承権を辞する考えだったのだから――。
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