◆ 12・彼の思惑(後) ◆
「でしょうね?」
それがどうした、とばかりに私は答える。
ルーファの重苦しい愛の話など今更言及されるまでもない。彼はアーラの為なら、本当になんだってするだろうし、見る限り『している』のだ。
「カエル王子だってそうだと思わないか?」
「カエルが?」
私だって馬鹿じゃない。『アーラの為に?』なんて頓珍漢な事を聞くつもりもない。
だが、私の為にカエルがそこまでする理由には程遠い。
それこそ、私とアレックスの間に『愛』があったのか『恋』があったのか問題に関わる。
いや……まぁ勿論? 前に聴衆込みで宣言した通り、アレックスの事は好きと言える。だけど、向こうには惨憺たる過去しかないしな?
それこそ百年の恋も醒めるレベルじゃない?
愛はないでしょう?
「ルーファの言葉から察するに、カエルが私を好きだったって事でOK?」
ライラが挙手する。
遅れて、ミランダもだ。
「じゃ、順番にライラからどうぞ」
「チャーリー、殿下はあなたを好きだったわ」
「そりゃ嫌いじゃないだろうけど?」
カエルとの仲は悪くない。特に教団云々やオリガ云々があってから、より仲良くなったと言える。
「そうじゃないのよ、殿下の初恋はあなたなのよ」
「……それも驚きってほどじゃないけど。聞こうじゃないの」
ライラがまさかカエルと恋愛話をしていたとも思えないが、初恋相手だったと言われれば悪い気はしない。話を促すようにライラを見る。
「殿下は、初めてあなたに会って、一目惚れをしたそうよ!」
ほう、まぁ見所があるじゃないの。
「でも、池に突き落とされて夢から醒めたそうよ」
うん……、でしょうね??
「でも! 婚約者だから関わらざるを得なくて、関わってるうちに、もう一度好感をもったそうよ」
あえて聞きたい。
どこで???? どの辺に好感を持ったって??
「殿下が言うには『ダメな子ほど可愛い理論』『一周回って好き』に相当するらしいわ」
「それ貶めてるよね?? ライラ、それを信じたの? ってか、いつそんな話をカエルはしてたの? むしろどこでしてたの?? 他に知ってる人いないよね?!」
「大丈夫よ、チャーリー。親友の婚約者と可笑しな関係にはなってないわ。ここに遊びに来た時に、たまたま鉢合わせて聞いただけだから」
そんな心配は微塵もしていない。
「お嬢様、全く理解できない事に……いつも殿下はお嬢様の事を気にしておいででしたよ」
「ミランダ……前置き要らなくない?」
ミランダはツンと澄ましている。
二人から目を逸らし、スライ先輩を見る。先輩とはいうものの、カエルの友人だ。二人の言への意見もあるだろう。
「俺を見るな。知らん。言っちゃなんだが、俺はそういう事には疎いぞ!」
役立たずめ。
「つまり……アレックスは私の為に、喰われた……と?」
ルーファが拍手をした。
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