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◆ 4・共闘への道 ◆


 ミランダの反応を見る。



 でもココで頷いてくれないとミランダと生死を賭けた戦いするしかなくなる。死に戻りがあるんだから、それは永遠のループコース。

 絶対に避けるべき問題だわっ。



 やがて――ミランダは頷いた。『今』は『見逃そう』のレベルだったとしても、ありがたい判断だ。


「おい、そっちの話が終わったなら『アーラ』を出せ」


 ほっとしたのも一瞬で、ルーファが空気を読まない発言をする。

 そういえば彼女は肉体の支配権を解放してから、沈黙している。



 まるで誰もいないみたいだけど……いるよね? アーラ? おーい、アーラ? アーラ! ちょっと、返事しなさいよっ、あんたの『ルフス』が呼んでますけど?!



 全く反応のない元天使に、溜息をつく。ルーファの真剣な顔を見れば、どれだけ彼が彼女と話したがっているのかが分かる。

 堕天前に言われた『伝えてほしい言葉』も言っていいのか悩ましい。


「あー……ルーファ、落ち着いて聞いて頂戴。実はアーラに伝言を頼まれてる」

「伝言じゃなくて、アーラと話す」

「うん、そこは……あんたの希望は、追々どうにかするとして……とりあえず伝言を聞いてくれないとこっちも困る」


 さっさと言えとばかりに口を閉ざし、むっつりとした表情を浮かべているルーファ。


「あー……『もういいんだよ』ってさ」


 ルーファが膝を屈する。


「え?」


 床に(ひざまず)き、顔を覆う様は役者顔負けの絶望の図だが、それでは終わらないのだろうと嫌な予感が増す。彼は床を殴りつけた。

 地揺れのように衝撃が私にまで伝わったし、実際、拳以上の大穴も開いている。

 貧乏暮らしをしたことのある私は、修理の値段も脳裏をかすめた。


「だから……ってな、『はい、さようなら』にはならねぇよ。忘れたのか?」


 彼の両手が私の腕を掴む。こんなにも真剣な顔のルーファを見た事があったろうかと、ただ驚いた。


「勇者ってのは希望と勇気で出来てんだよ! 諦めねぇ……絶対にっ」


 私にはアーラとルーファの間に何があったのかは知らないし、事情の半分も分からない。かつて見せてもらったアーラの記憶も全部ではないのだから当然だ。



 でも、アーラ。これはあんたの負けじゃないかな?



 純粋に思った。

 私が『アーラ』から生まれたのだとして、彼女の事をこんなにも求めている人がいて良かったと、『ルフス』にこれだけ思われていて良かったと――。

 私は死んで巻き戻されてを、何度も繰り返してきた。

 そんな私にだって、人間らしい心が残っていたらしい。二人を見ていると、そういう『まとも』な部分が刺激されている気がする。


「いいわ。ここにいる全員で、共闘しましょうよ」



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