◆ 27・悪魔と対峙(後) ◆
ミランダの地を這うような声がする。
「あんたァ……悪魔じゃないの?」
同時に黒い泥から彼女の上半身のみが生えた。
問いかけ一瞬自分の事かと思うも、応じたのはルーファだ。
「おう」
「可笑しいと思ったのよっ、王子とか言ってカエルと全然違うし、可笑しいとは思ってたのよっ。あんた、悪魔の癖に……協定が分からないわけないわよねェェ?」
ミランダの不機嫌が極まってる。
ってか、私って堕天して下落ちたって事考えるとよ? 悪魔仲間って事にならないわけ??
「贄が認定したって事は、コイツはチャーリーなんだな」
「そうよ、あたしも『本物』を見るまで分からなかったけどね。今はクッキリと見えてるわ、この鎖がね……」
ミランダは何もない空間を手繰り寄せる。それはあたかも紐か何かを引きずるような動作だ。
「わ、私とあんた、鎖で繋がれてんの?」
「そぅよぉ……。ココに戻った日、あんたの首にはすでに鎖があったわ。でもね、今に比べたらずっと薄かったのよ。コレを見るまでは、そういうモノだと思ってた……。今は分かるわ。やっぱりあの頃のあんたはあんたじゃなかったのよね」
そ、そうなのね? じゃ、本当に私とアーラは別のモノって捉えられてる事に?
複雑な気分だわ。
「このあたしの、復讐を! 悪魔としての成り立ちを! 一介の悪魔が邪魔していいと思ってんの!? 協定違反よ、上告してやるからっ」
叫ぶミランダにも、ルーファは涼しい顔だ。
何より彼女の発言は聞き捨てならない。上告というからにはかなり上の悪魔、例えば魔王とかに――となるのだろう。
冗談じゃない!
「ルー……!」
「チャーリー、おかえり」
「……お、おお……た、だいま」
出鼻を挫かれ、言葉に詰まる。
「前に話した通り、悪魔にもルールがある。贄が悪魔として確立するには、捧げた奴の死が必要となる。これはどんな契約にも勝る。って事で、頑張って生き残れ」
じゃ、今の一発は何だったのよ! 一回は手伝ったんだから、手伝っても今更じゃないの?!
「笑えるわ。あんたが邪魔した事は、取り繕ったって変わらないんだから。覚悟なさいよ」
「ミランダ、だったか? そういう事は勝ってから言えよ」
おいおい、そこは『俺様にそんなこと言ってタダですむと思ってんのか』くらい言いなさいよ……。
「おい、本当にやるのか?! アレは本当にメイドじゃないのか?!」
スライ先輩が息を上げている。
一つの呪文を長く発動し続けるには精神力勝負だ。この分では長く持たないことは誰の目にも明らかである。
〈シャーロット……〉
心配そうな声を響かせるアーラ。
やるしか、ない……っ。
ミランダを倒す。……今度こそミランダ脅威から解放される為にっ!
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