◆ 15・高次元の町(中) ◆
『ここは天使の町』と言うおっさん天使改め子供天使――子供といっても私より少し年下くらいだが。
エルロリスと並ぶと双子のようにそっくりだ。兄妹というのも頷ける。
子供天使が『町』と言うからには町なのだろうが、正直なにもない。
ただの良く分からない靄った空間だ。靄と光しかない白っぽいボヤけた世界が、天使の町と言われても魅力も何もない。
ってか、これって……私、天界これてんの!? 死んだの!? え???? ってか天界で殴るって思ってたけど、こんな子供の姿になってるのズルすぎない? 殴れないじゃん!? ってか、報復もこわいし? 悪魔どもに攻めさせるつもりが~~!!!!
「オマエね……こっちは心が見えちゃうんだから。全部筒抜けだよ、いいの?」
「どうして……シャーロット」
嫌そうに顔をゆがめる少年天使と悲し気な顔の少女天使は、どちらも美しい。
つか、コイツ、そういえば私の兄って事になるんだっけ?
「オマエ、楽せず声に出しな? ヒトでしょうが」
「うん、質問がいっぱいあるんだわ! 結局、私とあんたって兄妹なの!?」
「うん、気になるのソコなんだ?」
呆れたように言い、少年天使はエルロリスの手を引いて奥へといく。すぐに靄が濃くなり、二人の姿を薄める。
「ちょっ」
慌てて追いかけ、少年天使の服を掴む。
「ヒトは至ってないから、しっかり付いて来ないと捨てていくよ」
「一体何なのよ、この不思議空間は! 町っていうけど、なんにも見えないんだけど」
エルロリスが不思議そうに首を傾げる。
「え? みんないるよ?」
「いる??」
「うん、さっきまでは見えなかったけど、今はいるのが分かる。ほら、ライラがいる」
何もない空間、光を指さすエルロリスに寒気が走る。勿論、幽霊など信じたくはないし、今更幽霊ごときで怯えるつもりはない。
それでも美少女が「ほらいるよ?」って笑いながら何もない空間を指さすのは十分気味が悪い。
「ライラ、いつの間に死んだの??」
この、不思議な光たちが幽霊だとするなら、それでもいい。だがそこにライラが加わったのなら、私の生存ルート的にどうなのだろうと考える。
まぁ、この状況で、生存ルートも何もないか。
「言ったろう、ここは天使の世界の入口。一段階上の世界だ」
呆れたように子供天使は言い、手を差し出す。握れとばかりに数度手を振る様を見つめる。
「この手を握ったら、見えるから早くしな?」
「一回だけの救いの手とかそういうオチは?」
慎重にきけば、相手はフッと笑う。
「オレはね、人間のそういう所が大好きだよ」
「どれ?」
「学習しようとするところだ。そうして。学習できない所も、ね」
子供天使が私の手を強引に握った。
冷たい手の感触と同時に、視界に映る世界。
「え?」
大神殿だった。
『私』が、大神殿に倒れていた。
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