表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
242/375

◆ 11・魔王の救出(後) ◆

 早すぎるっ!



 状況は最悪。

 まだエイベルが復活していない状態で、怪我人のモニークがいるのだ。逃げ道は一本である以上、敵とぶつかるのは間違いない。


「先輩! モニークをお願いっ」



 私が今する事は、エイベルの……魔王の管理っ。何をすべきかは、まだ分からないけど……、あの状態から普通に戦える状態まで戻す事よ!



 意を決してモニークから手を離した時、悲鳴が轟いた。


「……な、に、……今の……」


 続く悲鳴、悲鳴悲鳴。

 駆けだそうとしていた足は止まり足音さえ立てずに、そっと扉に近寄る。押し開けばキィと音がする他、無音。

 ほの暗い廊下に伸びる影と、小さな背中。


 エイベルだ。


 争った際に壊れたのか、いくつかのランタンが床に落ちていた。

 人も――入口で見た護衛兵の恰好で倒れている。

 見覚えのある顔だった。



 私が担当した方の……、しっかり気絶させられなかったから……っ。



 床にはしっかり見えなくとも、濃い色の液体が広がっている。それが何を表すかは考えるまでもない。


「チャーリー、分かるか?」


 肩に手が乗る。

 カエルの姿のルーファが朗らかに耳元で続ける。


「アレが、コントロールだ」



 コントロール? こんなものが??



「聖女に産まれたての赤子を、魔王には死を。本人が作る必要はねぇ、周囲が作れば同じ事だ。ソレを見せることが重要なんだよ」

「私に……人を殺せって?」



 殺されまくってる私に?? そりゃ殺されかければ殺すけどさ? 殺されてもないのに、ただ弟の精神安定の為に殺すなんて、……それじゃまるで……。



「まるで生贄じゃない」


 零す私に、ルーファは笑った。


「当たり前だろ? お前は魔王側なんだから」


 悪役だと言われ、私自身だって清らかだなんて思ってないし、どちらかと言えばロクでもない人間だって自分でも分かってる。



 だからって意味もなく、赤の他人を殺すような心境にはなれないわ!



 エイベルは床の血を見つめたまま、棒立ちだ。


「エ、イベル……?」


 彼が振り返る。


「またヤッた」


 ガラス玉のような瞳に、言葉が紡げない。

 おそらく『また』というのは人殺しの事で、彼は前に人を殺した事があると言っていた。ルーファの話と合わせて考えてみれば、前回も同じ状態からの殺害行為だったんだろう。



 薬、みたいなものだし、もしかしたら魔王にとっての本当の意味での……食事なのかも。



 正しい間違っているを考えても仕方ない。あのまま第二段階に突入すれば、彼は瘴気とやらを噴き出して、周囲に更なる死者を作ったのだから――そう、他の誰でもない私自身に、言い聞かせる。

 そして、聞くべき事を口にした。


「エイベル、体調は?」






読んでくださってありがとうございます。

ブクマ・★評価も嬉しいです♪


「面白かった!」

「今後の展開は?」

と思われた方は下の☆☆☆☆☆から(★数はお好みで!w)作品への応援お願いします。

ブックマークやイイネも励みになります!


よろしくお願いします(* . .)⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ