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◆ 26・隠された本(前) ◆

 膝枕を求め、第三王子キャメロンはやってきた。

 父を始め、我が家は総動員で愛想よく応対し、私も求められるまま膝を差し出した。すぐ側にはエイベルが座っている。

 応接室、ソファ、年下の少年二名と私――無言の空間。



 めちゃくちゃ気まずいな、コレ!



 テーブルには数々のデザートが並んでいるし、エイベルは物欲しそうに見つめている。待てを言われた犬のようだ。


「言ったら? そこの番犬少年に、食べていいよーって」


 殿下が言った。

 エイベルも期待に満ちた目を向けてくる。


「食べていいわ」


 早速とばかりに教え込まれたカトラリーに手を伸ばすエイベル。

 しばらくは彼の食事の音で、この無音もかき消えるだろう。ついでに提案を口にした。


「次回は私が王子の所に伺っても?」


 立場上、大々的にカエルと連絡することもできない。手段が必要だ。この膝枕は良いカモフラージュになる。それにはこの王子の許可も必要だった。


「……んー……、ソレ、兄上様と密会する目的だよねぇ?」



 ヤバい、狙いがバレてる!



 確かに只の子供と言うには賢いかもしれない。私は言葉に詰まったまま無言を貫いた。

 膝の上で目を閉じている少年は微かに笑う。


「わきまえてくれてれば、別にいいよぉ」



 いいのか!?



 飛びつくべきではないと理性が留める。私の立場としては『そんな理由ではない』と明言すべきなのだ。


「そんな……」

「……理由じゃありませんって? 絶対ウソだし。まぁ別にいいけどねぇ。兄上様と別れたのもカモフラージュなんでしょ? 聞いてる聞いてる」



 困った……これが引っかけなのか、本当なのか分からない……!

 どうする?!



「兄上様と適切な距離を保ってくれるなら良いよって言ってるんだから、ありがたーく礼を言うといいよ」

「あなた……、キャメロン殿下も託宣があったんですよね? なんて言われたんですか?」

「気になるトコはそこかぁ」


 だが、彼はそれっきり答えなかった。



◆◇◆



「お嬢様、忍び込み用の人員を手配しました」


 夜にはミランダが戻り、報告をした。


「用意してください」


 むしろ、報告ではなく催促だった。


「ミランダ……まさか、今から?」

「ですね。こういうのは即日決行が良いかと。面倒な手順抜きで力技で行きますから」



 力技?!



「ボヤ騒ぎを起こして、警備の穴を人為的に作ります。その間に忍び込んでください。私は仲間と騒ぎの方を請け負いますので、お嬢様はエイベル様と一緒に行動してください。死なれると迷惑ですしね」

「エイベル、もう寝ちゃったような気が……」

「起こしてまいります」


 ミランダはさっさと部屋を出て行った。


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