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◆ 23・幸せの掴み方(中) ◆

「お前はすぐに結論に飛びつくけど、そういうの良くないよ?」

「お父様は何か知ってるんでしょ? 勿体ぶって焦らさないでっ。話してくださいよっ! 私、ちゃんとカエルとの婚約も承知したしっ、カエルとの関係も良好に保ったし……っ、今回の破棄だって!」


 カエルとお父様が何で対立したのかも知らない。それでも父の言う通り、今度は第三王子と婚約したのだ。私にだって、心があるし、全く揺れ動かないわけじゃない。



 生き伸びるだけで充分って思ってはいたけど……なんだかんだ欲深いんだろうな、私。それ以上も求めたいって思っちゃってる……。



「ご褒美の話かい?」

「……お父様、フローレンスの待遇を良くしてあげてください」


 色々な葛藤と文句があったはずなのに、最終的に口からまろび出たのは妹の事だった。


「待遇改善にはお金が掛かるんだよ? まさか、只『可哀想だから』なんて言葉じゃないよね?」

「勿論、違います」



 こういう人だって、とっくに分かってる。伊達に何十年も娘やってないわ。



「聖女のクォリティーを保つ為です」

「私は灰色計画推進中だよ? 聖女の性質が汚されるのは嬉しい事だよ」


 含み笑いさえ浮かべている父に、なるべく平静を保つ。


「お父様の、お邪魔になるような話ではありません。ほら、人間、おなかが空くと、力が出なかったり集中力を欠いたり……。魔王、と聖女……は、対の存在じゃないですか」

「それが?」

「お父様は、エイベル……魔王が、おなかが減ると力が出ないって、知ってますか?」


 これは賭けだ。

 父がエイベルの能力を正しく把握しているなら、一笑に付すだろう。


「性質が光と闇の塊だからでしょうか、メンタルに影響されるっぽいんですよね。事実、私なんてエイベルに守ってもらったら一食しっかり食べさせるって約束させられましたし? フローの事は正直、今まであまり関わってこなかった分、知ってる事は少ないですが……」

「同じ性質だったとしても驚きません、って所かな?」

「ですね……」

「でもね、愛する娘よ。光と闇は逆の性質を持ってるんだよ? お前の言い分を信じるならば、食を抜いた方が良い事にならないかな? それに私は聖女性を貶めたいわけだから、どちらにしろ、放置で構わないんだけどね」



 うん、続きの言葉なんて出ません。

 ミスった……本当の事を素直に言えば良かったんだ……っ、エイベルはおなかが空いた方が……って。



「まぁいいよ。お前の珍しい優しさに免じて、聞いてあげよう。環境の変化程度で堕とせるような生物じゃないからね、アレらは」


 父の部屋を退室し、ホッと息を吐く。

 案外両親に向き合う方が、生存模索よりもキツい時がある。


「お嬢様」

「……っ?」


 急に声をかけられて、心臓がバクバクと脈打つ。相手は父の忠実なる下僕――侍従長だ。この女性は、私が子供の頃からずっと同じ姿をしているように思う。本気で悪魔が化けた姿じゃないか、と思った事さえあるのだ。

 実際の悪魔は美しい姿をしていたのだから、想像など及ばないのが世界だ。


「お嬢様、奥様がお呼びでございます」



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