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◆ 19・スライ商会を潰せ(前) ◆

 反組織から連絡が来たのは、カエルが人間に戻って一週間は経ってからだった。

 ミランダは「加入おめでとうございます」と形ばかりの祝いを口にし、指示書とやらの封書を差し出してきた。


「何この図形?」

「指示書ですから、紛失時の事も考えての仕様です」


 私の手から奪い取った紙を折り曲げ、透かし、炙った。



 暗号統一してないのね……。



「どうやら、お嬢様への指令はスライ商会を潰す事のようですね」



 ……は?



「先輩のトコの?? え? なんで??」

「お嬢様、指令というモノに『何故』『どうして』は禁物ですよ。『やれ』と言われた事を『やる』だけです。やってください」



 いやいや、それはマズいっ。



 スライ先輩はライラの家と事業提携し、ライラ宅を助けているのだ。もしスライ商会が潰れたら、同時にライラの家も傾く可能性が大で、むしろスライ家もどうなるか。

 それは同時に彼らの――その後の生存に関わる事だ。過去、家族の死によってスライ先輩は暴発過激人間になっていたのだから、危険は冒すべきではない。

 おっさん天使の言葉を信じるならば私の死に関わる人間は皆がキーパーソンなのだ。下手な危険は冒したくないのが本音でもある。


「断る、って……出来ないよね?」

「あれだけ無理して加入したんですから、当然ですね。加入お断りの場合、組織に深入りしたお嬢様を見逃してもらえるとは思わない方がいいでしょう」



 でしょうね!?



「どうする……、スライ先輩の家業を潰すのはヤバイでしょ……」

「説明して理解を求めては? スライ様の方に、ですが」

「え? 家を潰すのOKしてくれって?? OKするバカいないよね?!」


 ミランダは溜息をつく。


「本質を読み取り、事に当たれば良いと思います。スライ家を潰す事が目的ではないでしょうから」



 物事の本質? スライ家ではなくスライ商会を潰す事が目的……、それにどんな差があるっていうの?



「でもミランダ、スライ商会の仕事は傭兵斡旋所みたいなものよ? 反組織は宗教反対運動の過激派みたいなトコでしょ? 関係があるとも思えないんだけど?」

「仰る通り、反組織は啓教会への反対派が集まって出来上がった組織です。逆を言えば、啓教会にとってスライ商会の『何か』は利があるのでしょう」

「人材派遣業と宗教団体の関係ねぇ」

「お嬢様、どうせ死ぬなら私に命……くださいね?」


 恐ろしい事を平然というミランダ。


「いや死ぬ予定ないから!!!!」

 

 慌てて言い返す。


「と、とりあえず! こればっかりは業務内容とかもあるし? スライ先輩とライラと話してから決めるわ」

「結局、本人に話すんじゃないですか」

「……そりゃまぁ……過去、一人で解決突っ走って失敗しまくったからね。一応は、意見募る事にしたのよ。これが良い方向に働くとも限ってないけど……言い方には配慮するつもりよ」


 ミランダは微かに笑う。


「いいんじゃないですか? お嬢様にしては」




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