◆ 18・これからの事 ◆
「お嬢様、ダラッとしてらっしゃいますけど、ご自分のやるべき事を忘れたわけじゃありませんよね?」
ミランダのツッコミを受け、これから学園に向かおうとしていた私は気分を害した。大いにだ。
分かってる分かってる。やるべき事はいっぱいあるよね……捕縛中のフローとか。
まぁ、これで? 第三王子はヨーク派がついてしまって第一王子、第二王子とは競う間柄というか、敵対関係になったわけだが!
そんな事より何より、婚約破棄からの速攻婚約で、クソな噂が飛び交ってるだろう学校に行くのよ?!
察してよ!!!! 私の気持ち!!!!
第一王子と第三王子の間で、どんなやり取りが交わされたのかは分からない。
だが、私は第三王子の婚約者になったし、父にも大いに褒められたので昨日は良しとした。あくまで、昨日は――だ。
今日になってみれば、現実が襲い掛かってきた気分である。
姦しい囁き声が飛び交う事くらいは想像に易い。
「反組織側はどうなってんの?」
私ちゃんとカエルにしたんだからいい加減、連絡来ても良くない?
「フローの事なら、まぁ、今すぐどうこうはないわけだし……一応、フローが本物って事は教団だって分かってるんだからさ。最悪は避けられるわけで……まずは反組織側にちゃんと入会だか入信だかで来たのかでしょ」
ミランダは「まだ連絡はありません」とすげなく答える。
「なぜフローレンス様が『偽物』として投獄されたのか。まずはそこから調べるべきかと存じます」
彼女は言いたい事を言って、私を馬車に追い立てる。
今日はエイベルDayだ。馬車にはすでにエイベルがちょこんと座っていた。
雑音は無視無視、そんな物より過酷な世界を生き抜いてきたじゃないの! なんか言われたら偉そうに反論してやればいいわ。
◆◇◆
想像よりも学園は不思議な様相を呈している。
第一王子の婚約者という事を外せば私の側にまとわりつく取り巻きとて去る、これは自明の理だ。だが、予想外だったのは、第三王子キャメロン関連の人間が誰もいない事だった。
後ろ盾がいなかったから、お父様も名乗りを上げやすかったろうし? 上げたんだろうけど? 誰もいないとかあり得る? 王子である以上、重役につく事は明白で……将来のコネ狙いで、多少は人が集まるものでしょ。
第三王子、私が知らない何かがあるの?
くっそ、今までの世界線……第三王子とかどうでも良すぎて、どんな行動取ってたのかすら知らないわっ。
昼食時になり、エイベルを側に座らせた。
ミランダでは立場上そうもいかないが、エイベルは弟という触れ込みなので問題はない。彼はこの学園の食事が気に入ってるらしくいつも目を輝かせて食事にありついている。
「今日は」
エイベルが口を開く。
「いっぱい気を使った」
「あんたが? 使うような『気』があったの?」
「たくさん見られてた。いざとなったら全員……していい?」
何を、かは聞かずとも察せられる。
「ダメだね?!」
私の周囲には危険人物が多すぎる事も問題だ。
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