◆ 8・混沌の世界(前) ◆
「……ルーファ……何してんの……」
疲れを伴った呟きに、カエルも頷く。
「彼は……君が思ってるよりずっと冷静で、冷徹に目的に向かってるんだ」
「アーラとのハッピーライフの為よね」
「事はそれほど単純でもないけど……」
ツッコミを入れるカエルを睨む。
「ってか、今までの話でオリガとルーファが無関係じゃないって事は分かったけどさ。それと私たちの婚約破棄やら、私を守るって事の何がどう関わるの?」
終わった過去を知った上で対策をする重要性は分かっているつもりだ。それでも面倒臭さも同居しているし、カエルの言の通り、彼らの関わりを考えてみるに長い話になりそうだ。
新情報ありすぎて頭が持たないわ。『勇者ルーファは魔王転生してオリガと戦いました』で良くない? ついでに言うなら『オリガって実は聖女認定された過去アリで仲間のパーティは別魔王と勇者でした』ってトコで。
カエルはそんな私の気持ちの汲んでいるのか怪しい。
「裕福な家庭が、孤児院から子供を引き取る事は栄誉ある義務だとされているね? これは孤児院に『神の落とし児』として聖女が現れるという風説からきたものだよ」
「でも千年に一度の奇跡でしょ」
「オリガの例のように、祭り上げられる場合もあるからね。逆に、魔王は子供の姿で現れるとも思われてないんだ。君も聞いた事ないでしょ?」
「うん、まぁ……」
子供の姿の魔王が弟になった身としては微妙な気分だ。
あれ? でも待って!? そうよ、光や闇の集まりが形を取って聖女や魔王になるなら、母親がいたエイベルは違うのでは? いや、同じ理屈で言うならヴィンセント王子だって魔王じゃないし、このカエルだってそうだし……。
「話が長いって思ってるのは分かってるよ。出来事だけを並べるから、もうちょっと我慢して」
カエルは私の複雑な表情に対して、間違った解釈をする。
それでも有難い心遣いなので、頷く。
「聖女サーシャと魔王アーニャは、とある貴族家に引き取られた。彼の家には最悪の悪名高い令息がいた。人をいたぶる事に喜びを見出す男で……」
出来る悪役令息ね!? 本来は私の目指す道だわっ。
「彼の闇に触発され、二人は競い合うように覚醒してしまうんだ」
「覚醒?!」
え、ソレじゃルーファは討たれたって事に?!
おっさん天使曰くの『覚醒魔王は人間には無理』ってヤツと聖女様が一緒なんだから……死亡でしょ!
「己の力に怯える彼らを救おうとしたのが、祭り上げられた聖女オリガだった。三人は世界と自分たちを救う為に行動し、双子の作成者に直談判しようとするんだね。だけど、その途中でオリガが死亡する」
「は?」
ルーファの前に私のブラックヒーローが死んでた?!
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