表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/375

◆ 5・ルーファの始まり(前) ◆

「嘘よ……」


 我が事ながら、か細い声だった。

 カエルは小首を傾げる。


「一度だって、君を裏切った事はないと思うけど? 破棄の一つで見限られるボクって一体……」



 見限られたのは私の方じゃない?



 寸で、押しとどめた言葉を飲み込む。

 カエルは悩むように顎に手をあて、頷いた。


「でも、そうだね。まずは今までの話を聞いてほしい」

「ルーファの……追体験みたいな?」

「……そうでもあり、そうでないとも言えるかな。主に聞いてほしいのは、ルーファの立場かな」


 確かにダラダラとルーファの過去を話されても右から左だ。まとめて説明してくれるなら有難い。



★☆★



 最初の百年は、凄まじいものだったという。

 ルーファこと人間ミハイルが天使アーラと衝撃の出逢いをし、聖女ドミティアを始め多くの仲間と共に魔王討伐をする話だったらしい。


「あえてかいつまんで話すなら」


 そうカエルは前置きをして、ルーファが聖女の力を受け取らないまま魔王を倒した事。

 多くの魔王に『喧嘩を売った』事。

 魔王を倒しすぎて世界のバランスを壊したあげくに、世界の光を摩耗させ大いなる闇を生み出してしまった事。

 ルーファが勇者ではなかったと思うとも、カエルは告げた。彼のやらかした事件を幾つか聞けば、それも納得できなくはない――。


「確か、ルーファは勇者候補を殺したって……前に言ってたけど」

「そうだね……人生観が変わりそうなくらい……血が、飛び散ってたよ……」


 いささかげんなりと呟くカエル。


「ルーファが勇者じゃないなら、誰が勇者だったの?」

「それは分からない……。本当に片っ端から殺していったし……」



 でも聖女はアーラじゃないのに? 聖女を取られたくないから勇者になりたかったって言うなら分かるけど。



「チャーリーの疑問は想像がつくよ。なぜ聖女ではないアーラを好きなのに、勇者になりたがったのか……だよね?」

「そうね」


「彼はアーラと一緒にいたかったんだ」

「はぁ……」


 曖昧に頷く。

 あれだけ愛しているアーラなのだから、一緒にいたいと彼が思っても理解できる。



 それと勇者に何の関係がある?



「でも、人間が天使になる事はできない。天使は……天使だからね?」

「うん? うん。そうでしょうね?」


 カエルの言いたい事が今一つ意味が分からない。

 私は一段階上の世界を見た身だが、天使の事は未だに謎が多いのだ。



 確か、おっさん天使が割って入って魔王を倒した事もあったよね? アレってルーファの時じゃなかったっけ? ルーファたち人間で魔王を討伐できてたなら、アレは一体……。



「悪魔は基本、天使が闇に堕ちた姿だ」


 どうやらカエルも私と同じ『悪魔』の知識を得たらしい。天使が穢れを削られていく話――どれもがルーファに聞いた話だ。


「でも例外的に、一部の人間は悪魔になれるんだ。……勇者、ならね」


 その瞬間、やっと話が繋がった。



 それ!!!! 聞いた事あったわ……!!!!



読んでくださってありがとうございます。

ブクマ・★評価も嬉しいです♪


「面白かった!」

「今後の展開は?」

と思われた方は下の☆☆☆☆☆から(★数はお好みで!w)作品への応援お願いします。

ブックマークやイイネも励みになります!


よろしくお願いします(* . .)⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ