◆ 22・妹との面会(前) ◆
表面上は普通の生活を二日目をすごしながら、私はソワソワしている。
肉体の主導権を返してもらった私は、ルーファに二つの約束をさせた。
一つ目は、三日以内にカエルを戻してもらうこと。こちらはモニークに連絡済みで、まさかルーファが反故にするとも思っていないが――やはりソワつくのだ。
カエルは長い魂の旅をしてきたようなもの、元のアレックスが壊れて、ルーファみたいに尊大な自由人になってたらどうしよう……。
人は変われないというが、長い人生。何度となく性格改変は行われてきた。なんだかんだ言って、死にかけるような体験をすれば、人生観は変化していく。
それは私が実証済みだ。
〈信じよう、チャーリー〉
元天使が天使っぽいこと言わないでくれる?
ルーファへの約束、二つ目はカエルになり替わろうとしたあの男の調査だ。こちらに関しては期限を設けていない。もらった。私としては『どちら』と結婚していたのかはそれなりに気になる問題だった。
「お嬢様」
ミランダが入室してきた。
手の盆には白い封筒。
「どっちから?」
「主人宛ての『秘密文書』をぶしつけにチェックなど致しませんよ」
口ぶりからして反組織側だろう。
盆からひったくるように手に取り、乱雑に封を破く。
「なになに、『明日、明け六つ、紙の音』って、ナニコレ」
書いている内容もだが、あまりの素っ気なさにポカンとする。
最後の『紙の音』に関しては書き損じかと思うほどだ。
「……フローレンス様との面談では?」
「フローと? え? あの子捕まってるんだよね?」
「ですから、その文面なのでは? 紙の音に指定はありませんし、紙を適当にバサバサ―ッて鳴らせばいいのでは?」
私はミランダを馬鹿にしたような目で見る。
あんた、それでよくスパイ続けて来たわね。
「フローレンスとの面談はお父様が取り計らったってことよね?」
「そうなんじゃないですか? ただ、そうであるなら旦那様が直接お伝えになればいいことですし、わざわざ手間をかけて手紙を用意した理由にはなりませんね」
「反組織側が、頑張りに対するプレゼントとか?」
「ありえません。お嬢様は評価すべきことを何もなさっておりませんし」
あんた、それでよく私の侍女続けて来たわね。
「罠の可能性もありますが、どうなさいます?」
「……フローレンスとの面談って、あんた言ったわね? なんでそう思ったの?」
「それは……旦那様が仰ってましたし……昨晩。『やっと感動の姉妹再会を演出できそうだよ』って」
今きっと、私はうんざりした顔をしているだろう。
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