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◆ 15・反組織の試験(前) ◆


 案内された先――試験会場とやらは、傭兵組合だった。

 煉瓦作りの広い敷地を持つ入口を見つめ、溜息をつく。何のことはない登録して来い、ということだ。


「登録してないでしょう?」


 モニークの言葉に弟を見る。十代前半で登録している方が稀だが、念のため確認を取る。


「してないよね?」

「うん」


 確かに、登録時には組合が定めた最低限の試験受けなければならない。それは点数を競うものではならく、あくまでランク分けと職業系統の確認に使われている。

 実力を見る意味でも理にかなっている。


「一人でいける?」

「……ゴエイ」

「あぁ、そうか……ついていくわ」


 保護者のようにエイベルと共に建物中に入る。四つの窓口は全て人がズラリと並んでいるし、依頼を貼りだした仕事を吟味する為たむろする人々や、パーティーを募集する人々。

 みな、年齢性別装束、様々だ。

 その中でも一際小さく場違いなのは、このエイベルだろう。

 あからさまな排他的(はいたてき)視線を受け、私は溜息をついた。


「オネーサマ」

「ん?」

「スイッチ入る」



 スイッチ????

 なんの?



 基本が無表情なエイベルは、床を蹴った――揺れる視界。

 身体は大きく揺れ、尻もちもつく。

 地鳴りを受けた後のように気分が悪い。

 誰かの息をのむ音と、悲鳴。


「え?」


 エイベルの周囲が陥没(かんぼつ)している。


「トーロクしたいな」


 エイベルの言葉。

 人垣が割れる。通路のあいた窓口に向かおうとして、彼は思い出したように私に手を差し伸べた。


「オネーサマ、行こう」

「お、……おぉ、そ、そぅね?」


 促されるまま手を借りて立つ。モニークが小さく「逸材(いつざい)」と呟いたのが聞こえたが、今は無視をする。



 ヤ、バ、イ、よね????

〈チャーリー、どうしたの?〉

 アイツ、地面を(えぐ)ったのよ?! 修理代はウチにくるのに、ノープランよ!? 何も考えずに蹴りあけて、建物の常識的マナーから教えなきゃいけないってことじゃないの!!

〈わたしたちの、弟だもの。教えてあげましょ?〉

 馬鹿!!!! そうじゃないでしょっ、あのガキ、とんでもない力だってことよ!!!! あのガキが暴れたら、誰が止めるのよっ。

〈それは……〉



 元天使もかばえなかったらしく、口ごもる。



 姉の私よね?! わかる、わかるよ? わかりますとも! だって私のいいなりになってた弟が、キレて人殺して街壊して、それって誰を追求する?! ウチと私よね?! 腹いせに私にくるよね?!

〈落ち着いてチャーリー〉

 落ち着けるかぁあぁあ!!!! 結局、死亡ENDへのカウントダウンはこういうことだったのよ、小さなことの積み重ねが、死に繋がっていくのよ。アイツの行動が巡り巡って、悪役令嬢と悪役令息みたいな扱いになって、私たちは一緒に首吊りの未来、待ったなしよ!!



 占いは当たるのだと痛感した私は弟の隣で震える。

 弟の前に立つ職員も怯えている。

 そんな二人など我関せずとばかりに、エイベルは「トーロクに来ました」と言った。




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