◆ 8・反組織の面接(後) ◆
老婆は、おもむろに懐から何かを取り出す。
よく見れば角のたくさんある多面体サイコロのようにみえた。
「占おう」
は??
ガサついた声に、私は首を傾げる。なぜ『占い』に話が流れたのか分からない。メリットとデメリットの提示を要求したはずなのだ。
だが、老婆はサイコロを振る。
ソレはコロリと埃っぽい床を転がり、止まる。
静まる空気に唾さえ飲めず、じっと老婆を見つめる。
「……ん?」
続く沈黙に声を出す。
「あの……、で????」
急かすように再度言えば、老婆は一つ頷いた。
そして続く無言。
「いやいやいや!!!! 何かいって?! 逆に気になるし?! どういうつもりなのか全くわかりませんっ、何が分かったのよ?! 私に何かあるわけ?!」
「落ち着いて、チャーリー」
止めるライラに「だって!」と続けようとした時、老婆が口を開いた。
「死んどる」
息を呑む。
死んでるって言った?
「……どういう意味?」
今度は慎重に問う。
「命、魂、輪廻、光、闇、……天使」
老婆の言葉は、いかにも怪しげな占い師が口にしそうな大きくて、誰にでもあたりそうな文言だ。だが、無視するにはあまりに私と関連がありすぎる。
沈黙するも、老婆は続ける。
「二つのタマ、翼、死……、死、死、死……あまたの死」
この、婆さん……!!
老婆が私に人差し指を向ける。
「あんたの後ろ、死が迫っとるよ」
呼吸を停止し、老婆を見つめる。
「オネーサマ?」
ハッとして後ろを振り返れば頭一つは低い所に弟の顔がある。
後ろに死が……で、魔王が立ってる、コレ何……? いや、あえて聞くか。
「後ろってこの子? この子が私の命を狙ってるってそういう認識でOK?」
老婆はそれには答えず、再度サイコロを振る。
「じゃな」
「何を馬鹿なこと言ってますの? このエイベルはチャーリーの弟ですわよ?」
「目は嘘をつかん。死は後ろからくる、その子じゃ、その子が死を招く」
私は再度エイベルを見る。
魔王が仲間の悪役令嬢を殺す可能性については、納得しかない。読んできた本にだって、悪役たちは仲間割れをして四散し、勇者に付随する立ち位置の人々に倒されるのだから――。
「私を殺す理由はわかるの?」
「まだ見えん。……が、……ラッキーカラーは緑」
は????
「ら、ラッキーカラー? なに、どういう意味」
モニークが肩を竦める。
「お嬢様ともなると占いも受けたことがないの? ラッキーカラーは魔除けの護符のようなものよ」
初耳だが??
「緑……、殿下のことね?!」
ライラが叫ぶ。
いや、なんでだよ??
「みどり……葉っぱ取ってくる?」
「チャーリー、殿下の帰還を本格的にっ」
テンションの落差に目を瞑り、私は冷静な対応を心がけた。
「分かった。緑は後で考える。メリットは占いとラッキーカラーね。それでこの組織のデメリットは変なババァがいるってことね」
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