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◆ 7・反組織の面接(中) ◆


 案内に従った結果、飯屋から別の飯屋に移動しただけだった。

 その上、先程よりも狭く汚い。客もまばらだ。



 よくあるわね、こういうの。



「オネーサマ」


 神妙なエイベルの声。いささか緊張しながら目を向ける。


「こんどは食べる?」

「あんた朝、私より食べたよね?」


 彼は顔を逸らし小さく「全然足りない」と言った。



 この、小さい身体にどれだけ入るんだ……って、まさか! 魔王だから?

 維持するエネルギーが膨大(ぼうだい)とか? 燃費悪いとか? 今後の魔王育成計画に係わりかねない。



「今後に関わるわ、エイベルちゃんと自分のことは話して」


 (おごそ)かに言う私。

 重々しい空気が漂う。


「オレ、いっぱい食うんだ……」

「やっぱり……」

「分かっちゃうんだ? そうなんだ、メシ代がヤバい」

「め、メシ代?」


 敢えて繰り返せば、彼はさらに陰鬱(いんうつ)な顔で頷く。


「ちゃんとした仕事してんのに、ウチが貧乏だったのって、そういうコトなんだ。オレも自分の腹のために、いっぱいためないと、行き倒れる……」



 ……ルーファか? 腹減りのあげく私を殺したルーファか?



「そう……た、大変ね? でもあんたは大丈夫よ! なんたってヨーク家の息子になったんだし? 行き倒れるとしたら、私を見殺しにして放り出された時ね?!」

「やっぱり?」

「うん!!」

「オネーサマ、……しっかり守る」


 彼の腹具合のおかげで、私は安全を手に入れたかもしれない。

 だが、こんな彼が魔王とは世も末だ。


「ほら、早く二階にあがって」


 モニークはさっさと梯子を上っていた。階段ではなく、棒を組み合わせたような梯子だ。

 私たちは文句も言わず素直に上へと昇った。


「うわ」



 これ、部屋じゃない!



「チャーリー、知ってる? こういうのが本物の屋根裏部屋なのよ。星は見えないしベッドも置けない、(ほこり)っぽくて荷物いっぱい、そういうものなの」

「……そ、そうなの?」


 所々に蜘蛛の巣が見える。

 一階が食事処なだけに、この内実を知れば二度と客が寄り付かないだろう。

 見回す私に、咳払(せきばら)いが聞こえる。部屋の隅からだ。


「さっさと座れ」


 置物のように鎮座した老婆がいた。

 想像するに、この面接の審査をするのだろう。そうと決まれば、これまた言うことは決まっている。胸を反らし、ライラとエイベルよりも前に出る。


「言っておくと、面接失格の者シャーロット・グレイス・ヨークよ! でもこの二人を手に入れたくば、まず私に色々提示してくれるかしら?」


 老婆はシワで潰れそうな重い瞼を持ち上げる。


「色々とは?」

「メリットよ!」


 モニークも老婆も顔を驚きに染めている。


「見ず知らずだった人間が二人以上で何かしようってのよ? メリットとデメリットは公開してもらわないと提携できないでしょ」


 ライラが頭を抱えた。






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