◆ 6・反組織の面接(前) ◆
女は言う。
「買えません」
お父様、金で買えない物が命の他にもありました。探したら案外あるのかもしれません……。
って、困る!!!!
どうしよう?!
私の立場的に反組織に入るべき所だ。まさかこの時点で退場させられることになろうとは、夢にも思わなかった。
「では付いてきてください、案内します」
私の焦りを無視して、モニークは二人を別の場所へと連れていこうとしている。
ミランダが試験日教えてくれてたら、こんな事には……!
どうする?!
待って、と声を上げようとしたその時――弟が手をあげた。
「オレ、行かない。ソレ、キョーミない」
片言気味の言葉に、女が目を見開く。
エイベル?!
続けて弟は言う。
「だいたいオレ、オネーサマを守るのが仕事だし、もしオネーサマが死んだらオレ、バッキン払わされるかもだし、ショーライにかかわるし。だから、だいたい全部オネーサマしだい」
お、弟よ……!!!!
感動だった。
私は憤然と立ち上がる。今、言うべきことが何か分かっていた。
「この子、最高に強いわよ?! 最高にね!! 弟を連れていって役立てたいなら私も連れていくのね!」
ライラも立ち上がる。
「さすがはチャーリー、立ち直りも他力本願全開で己の欲を追求する様は惚れ惚れしますわ」
「ライラ……」
フォローになってませんけど?
「わたくしからも追加しますと、チャーリーの実家パワーは侮れませんよ」
それはどうなの?? 私の価値って、家だけ?! いやいや、王子の婚約者って強みだってあるよね? そ、それに天使と同居だし? 元でも天使と凄いはず!!
いやいや……でもこれで押すしか!
ツッコミは心うちのみで我慢する。
「そ、そうよ! ライラだって現役傭兵とか騎士とかしてるんだから強さは保証するわ。2人を勧誘したければ、私は確実に付いてくる付属品と思うのね!」
女は引き攣り笑みを浮かべる。
「だって私、自分の身が可愛いからエイベルから離れないわよ? いいわよね、エイベル?」
「うん、まぁ……」
多少の困惑を見せるも彼は頷く。後押しをもらって胸を張る私に、モニークが引き攣りながら答えた。
「……そこまで言うなら付いてきてもいいですよ? あくまでオマケとして、ですけど」
悔しくも何ともないさ、この世は思惑を通したもの勝ちよ。私はやってやった!!
高笑いしたいくらいの気持ちで、エイベルを見る。
可愛げの欠片もないが、先程のフォローは最高だった。
「エイベル、今回の働きはお父様に伝えとくわね」
「オネーサマ……」
モニークはため息をつき「なら3人とも着いてらっしゃい」と店から出ていく。
当然断る通りはない。
「食べないの?」と不思議そうな弟を追い立て彼女の後を追った。
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