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◆ 24・潜入協定(後) ◆


「あんたはソレでいいの?」


 弟となった魔王エイベルに聞く。

 彼は表情が乏しく、読み取る事が難しい。言いたい事があるなら言葉にしてもらいたい所だ。


「うん、いいよ」


 金より命の方が何千倍も大事だと、まだこの幼子には分からないのだろう。



 スパイをする事でどんな危険が待ち受けてるともしれないのに……まぁ、魔王だから大丈夫なのか?



「ミルカさん、黙ってますけど……本当にいいんですか?」


 ミルカは肩を竦める。


「良いも悪いもないわい。最強の称号を譲ろうが老いようが、騎士は騎士じゃからのぅ」



 上位者の指令には従うという意味だろうか?



「ミルカは逆らいませんよ。騎士ってそういうモノらしいです」

「え?!」


 エイベルが驚いた顔でミランダを見る。

 嘘を教えないでいただきたい。だが、ある意味では騎士などというものを目指さないでくれると『悪役令嬢』的には助かる。



 いや、信頼関係第一よね。魔王とは今後、手を組んでやっていかないといけない場面が増えるだろうし、ってか私の上司みたいなもんだし?

 まさか魔王に『お前いらない』って殺されたんじゃ話にならないし?! それだけは避けよう……魔王に殺された場合、お互い記憶持ってたら最悪よ……ね? ……いや、あれ?



 悪魔はリスタート時でも記憶を持っている。

 聖女フローレンスにはなかった。少なくとも私にはそう見えた。



 魔王は、リスタートの記憶ないのよね?




 モヤモヤしながらも、とりあえず進言する。


「エイベル、騎士はそういうモノじゃないです」

「じゃ、どういう?」

「それは……学校で学んでください」


 エイベルは口を閉ざす。


「儂、というか……ミランダが『ツナギ』をつけるじゃろ」

「ええ、つけます。無事の報告もあげたいですし……。ご案内するまで、お嬢様は反教団員となる思想固めでもしておいてくださいね」



 しそうがため……。

 怪しい宗教関連の集まりには、首を突っ込みたくないのにっ。

〈チャーリーは神に祈らないの?〉



 神に祈れたら――祈りを聞き届けてくれたなら、どんなに素敵だったろうと夢想する。

 あいにく、一度として叶えられた覚えはない。神は存在していないのでは、などと思ったのは初期の症状だ。救ってくれない神を心でなじり続けた。

 今では何も期待していない。



 むしろ天使への恨みで神どころじゃ……。

〈チャーリー?〉

 ……アーラ、神の話はやめよう。精神衛生に悪いわ。

〈うん?〉



 不思議そうな声をあげるも、アーラはそれ以上の質問をしなかった。

 ミランダはその間にもミルカと打ち合わせめいた事をしている。


「お嬢様と坊ちゃま用に、両陣営の方針を書いてお渡ししますね」



 さすがダブルスパイ。



「具体的な実施日はいつからになる?」


 父の空気を読まない発言にも、ミランダは「一両日中に予定を報告いたします」と答えた。


「オネーサマ」

「ん?」


 エイベルの呼びかけに視線を落とす。

 頭一つ分は低い彼が、もっと近寄れとばかりに手招きをする。身をかがめて耳を寄せれば、彼が囁いた。


「あんた、二人いるね」


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