◆ 22・偽証と真実 ◆
常識のなさそうな弟から目を逸らす。
そういえば……。
「ところで、情報通のお父様。フローを知りませんか? フローレンス、あなたの娘2ですけど?」
父がフローレンスを売り物にしていた事実は知らないフリで話を進める。半人前とはいえ、悪魔ミランダの攻撃を防いだのだ。
しかも武力でいえば、父側の方にはまだミルカもいる。
力で言いなりにするのは無理があるわ。
〈チャーリー、フローレンスはここにいないよ?〉
別にお父様がどこかに隠したなんて思ってないわ、どこにいるかを聞きたいのよ。
だが、父は困ったように表情を沈ませる。
「教団に捕まってるよ」
「誘拐!? そっちが誘拐なの?!」
「誘拐ではないね」
〈罪〉
脳内に厳かな声が響く。
アーラの声ではあるが、こうして感情を切り捨ててしまえば本当に天使めいている。
〈罪には償い。……彼女は、さらわれてないみたい。捕まったの〉
何、いってんの?
フローレンスが捕まった事は父が言った事だ。
「誘拐にしか思えませんけど?」
「捕まって拘束されてるんだよ。まだ公表されてないけれど、罪状は『聖女偽装』だったりする。私の所為でもあるかな」
偽装……つまり、聖女のフリしてる偽聖女って捕まったって事、だよね?
え?
ヤバくない?? その下り、私が偽聖女したパターンで体験済みだし、ひっどい最期迎えたし!!!! ちょ、フローレンスを早く助け出さないと、ヤバイじゃないのっ!!!!
足元がぐらついた気がした。
分かっている、これらはストレス症状の一種だ。揺れてもいない地面が揺れて感じるほどに、状況への恐怖が私を雁字搦めている。
「フローレンス、助けますよね?」
父を見る。
教団は厄介だ。まして罪状を突きつけての連行だったのなら、父の権力をもってしてもどうにもならないだろう。それが過去のパターンだ。
公表されていないならチャンスはあるはず……! 私の時は正々堂々正面玄関から連れれていったもの! 地位やら出したところで特権階級云々いわれるだけの……だから、今回は、少しだけ救いが……ある方だ。
「聖女だからね? すぐには無理かな」
「何で!! すぐに動かないと、公表されでもしたら助けようがなくなります!」
「そうだね。それで、お前の目的は何?」
さらりと問いかけられた言葉に口を閉ざす。
「わ、私!?」
父は当たり前の質問をされたように肩を竦めた。
「お前は悪役令嬢を極めるの? それとも『勇者』とやらになるの? あぁ……天使に戻るのかな?」
父の言葉は全てを知っている証拠だった。
私の答えなど一つしかない。
「老衰よ!」
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