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◆ 20・騎士を目指す少年 ◆


「神殿……の、騎士? 神学校に申し込んだって意味? 魔王なのに? 神学校? 本気????」


 父は肩を竦めた。


「この少年の存在を知ったのは本当に偶々だったんだよ。この子の母は私の護衛をしてくれていたけれど、会う事はないものね? おっと、念のために言っておくと、その女性と可笑しな関係は築いてないよ」

「……それは良かったです」


 気のない返事になるのも仕方ないだろう。


「この子を見つけたのは、イノシシ事件が切っ掛けだよ。謎の力によって肉に変わったモンスターだが、そんな中、この子はその肉をかすめ取っていたんだ」

「は?」

「目を疑ったよ」



 そうでしょうね?



「屋根から屋根にと駆け抜け、誰よりも大きな肉片を空中でキャッチしていてね」

「待って? 確かそのイノシシ騒動で彼の……」

「そうなんだよ。舞い降りて来た所で、母親の死に目にあったんだ。双方驚いてたよ。でも……感動的だったなぁ。『あなたは一人でも生きていけるわね』って言葉に無言で頷く少年。実に見応えのあるシーンだったよ」


 お父様のあまりな言葉に、エイベルを見る。機嫌を損ねた風もなく、彼は頷いた。


「オフクロも安心してイったみたいで、オレも安心した。おまけにオフクロがこのおっさんを助けてたおかげで、オレもこの先、生きていけるし」



 悪役令嬢あらため、悪役侯爵で良いんじゃないの? あんたら良い相棒関係だよ。お似合いだよ。



「で、お父様……どの辺で魔王だと?」

「命と落とした部下の子だ。それなりの事をしよう、あれだけの身体能力も捨て置くには惜しいと、会いに行って話を聞いたんだ」


 前者よりも後者の理由の方が重そうだ。


「ミルカ・ヘルレヴィの弟子だという事、その腕の冴えを聞いてね。神童なら神童で、どんな未来がありえるかと、私の部下に託宣の真似事をさせてみたら『魔王』と出たんだよ」

「え、そんなはっきり『魔王』とか託宣でるの? ってか、その部下信用できます? そもそも託宣って一般人にできます?」


 父は呆れた顔一つせずに説明した。

 すなわち、方々に放っている非合法の諜報活動の産物であり、神殿でも高位に位置する間諜に『託宣』の『真似事』をさせた結果だという事。

 託宣を信じてるわけではなく、託宣の裏を行こうとしてさせた事などを語った。



 クソだわ。

 お父様、本気で何やってんの……傍迷惑な思想も程々にして!



「それで『灰色』にする為に、神学校で神官系の騎士にしちゃおうって事ですか? 流石に人の人生、いじりすぎてません?」

「父様は『魔王』の中に『神』への祈りが生まれたら面白いなって思っただけだよ。この子だって、将来人間として生きる権利があったって良いと思うんだ、ねえ?」


 エイベルを見る父。慌てて私は割り込んだ。


「いやいや、魔王だよ! 世界征服できちゃうんだよ?! なりたいよね? 唯一無二の存在よ!」



 他に数人いるけど……!



 弟となった『魔王』は首を振る。


「マオーとか、ダサい。フツーに金かせげるように、手にショクつけたいからオフクロと同じ仕事がいいな」

「ほら、この子も言ってるじゃないか!」

「……この子の母親の仕事は護衛兵で、神殿関係ないでしょ」


 勿論、悔し紛れだと私も分かっている。




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