表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/375

◆ 19・灰色(後) ◆


「待て待て待ってーっ!!!!」



 流石にお父様をどうかしちゃうのは問題よ! そりゃ私の色々の状況を作った元凶っぽいけど、だからって……!



「まだはっきりさせないといけない事がいっぱいあるのよ!? 教団と反教団とか、どうやって魔王を見つけたのかとか!」


 慌てて止めに入る。

 ミランダはうんざりした顔で私を見た。


「痛めつけた後に聞いてはどうです?」



 痛めつけるくらいなら……?。



 少しの逡巡は無言という形で表れる。それはミランダにとって充分な時間だった。

 振りかざされた腕が、丸太で作った棍棒のような形に変貌する。


「……まっ……!!」


 しなやかな風を切る音。

 図らずも凝視した先で、彼女の腕を阻む男――の、子。

 棍棒状の黒々しい塊を掌で掴んでいる。



 え、エイベル?!?!

 


「……とっくの昔に王国最強など、譲っとるわい」


 ミルカの言葉に少年は一つため息。同時にビシリと軽い音が響き、ミランダの腕にヒビが走る。魔王の称号は伊達ではないらしい。


「これ、どうしたらいいの?」



 何……、なんで、エイベルが?! って、そうか……っ、お父様は金手元! エイベルの立場ならお父様を守って当然……私でもそうするわ。

〈離れて!〉



 アーラの叫びに慌てて、外への扉に駆け寄る。ドアノブをしっかりと掴み叫んだ。


「ミランダ、離れて! なんか危険!!」


 一拍おいた忠告に彼女も従い、距離を取る。

 エイベルは後追いせずに手を離した。



「どういうつもりよ、エイベル。あんたが絶対服従すべきは姉の私でしょ!」


 彼は父を指さす。


「カネ」


 そして、私を指さす。


「アネ。アネにカネはないし」


 確かにその通りだ。私が自由になる金など、たかが知れている。


「これからメンドー見てもらうし?」


 エイベルは父を見る。

 その目は確認の様相を呈している。父は鷹揚に頷いた。


「この場合はお前の判断が最適解だよ。お前の面倒を見るのは私であって、娘1じゃないからね。でも……それ以外においては、娘1がご主人様だよ」



 その言い方じゃ奴隷よ。

〈お父さまの中では『ドレイ』みたい〉

 弟じゃなくて、奴隷なの?! 罪が重なっていく気がするわ! いや、悪役令嬢としては正しい姿だけど。



「とにかく、魔王に邪魔されちゃ話が進まないわ! はっきり言って……私の人生に、お父様の灰色計画は迷惑なのよ!!!!」


 父はキョトンとした顔で私を見る。

 何が悪いのかすら分かっていない顔だ。


「全部……筒抜けなら、言葉を選んでもしょうがないし……言っちゃいますけど! お父様のその行為が、私の死の何回か、何十回かは影響してると思うんですよね」

「そうだね?」

「良心があるなら、『灰色』云々止めてもらえません? 聖女は今更性格変えられませんし、せめて……この『魔王』はしっかり『魔王』に育ってくれないと困るんですよ!」

「……でも、オレ、シンデンのキシになるらしい。申し込みしたって言ってたぞ?」



 なんですって???? キシ? シンデンの? ……騎士? 神殿の????



 私は頭を抱えてしゃがみ込んだ。


読んでくださってありがとうございます。

ブクマ・★評価も嬉しいです♪


「面白かった!」

「今後の展開は?」

と思われた方は下の☆☆☆☆☆から(★数はお好みで!w)作品への応援お願いします。

ブックマークやイイネも励みになります!


よろしくお願いします(* . .)⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ