◆ 17・灰色(前) ◆
「答えてください」
再度告げる。
聖女が真っ白な存在になれなかった理由が、父の企みで――その不思議な感性によるものだとするなら、当然止めなければならない。
私にとって、あまりに迷惑な状況を引き起こしている。
父は首を傾げる。
「どこまで、というのは答えにくいね。全て計算通りさ、って言えたら恰好良いんだけどね。意図していない事が起きても、それをコントロールして新たに結びつける事もあるし、その場その場のノリをうまく活用できるかにかかってるからなぁ」
笑う父を胡乱な目で見る。
こんないい加減な敵が存在してたとは…、それもこんなに近くに、だ!
本当に胎児くらいからやり直したい……。
すでにフローの性格は出来上がっちゃってる。今から……どう教育すれば、清らかな乙女になる? 無理にしか思えない。
「フローは充分、闇成分強めらしいです。お父様の目論見だか、その場の考えだかは知りませんが、方向性は成功していますね」
「そうなんだ?」
「ですねー!」
怒鳴りたい衝動を押さえ込み、声を出す。多少大きな声になるのは仕方ないだろう。
「お父様……、お父様は最初からフローレンスが聖女って知ってたんですね?」
大事な事を聞く。考えるのはそこからだ。
「知ってたよ」
素直に答える父は気味が悪い。
「エイベルを引き取るのも、『魔王』だからですか?」
「そうだよ」
言われるエイベルも微妙な気分だろうと見れば、こちらはどこ吹く風だ。
「息子1、まずは『価値観』の破壊からスタートするね」
父の言葉をとどめようと口を開くも、よくよく考えればどちらが正しいのか分からない。
結局、私は何も言えなかった。
だって、『魔王』が色々とやらかす事は『人間』にとって最悪で、多分それこそが迷惑な話だ……。そういう事をしない『魔王』を作り出そうとしてるなら、『人間』にとっては実にありがたい。
でも……『魔王』が『魔王』してくれないと、私には困るっていう……。
「お前が考えていそうな事は分かるけどね、娘1。確かに人は変われる。でも性質は難しいよ? 行動自体は簡単だけどね、良い方から悪い方は一瞬、悪い方から良い方へも心掛け一つでもね、性根は骨が折れる作業だよ」
惑わされるな、……こういう混ぜっ返す感じに付き合ってたらバカを見る。お父様が何がしたいかを聞き出すのよ! もう読み取ろうなんてしない、どうせ理解できない間柄なんだから。
「で?! 具体的なお父様の目指す終着点って何ですか?」
「娘1、……ただの思想に終着なんてないよ」
「何かあるでしょう?! それなりの金もかかってるんですから!」
父は少し悩む。
「……そうだね、そういう意味でいうなら、満足感かな?」
満足感?!
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