◆ 15・対峙と追及(中) ◆
◆◇◆
馬車を降りれば、砂利の敷地に丸太の家。
先月訪れたミルカ・ヘルレヴィ――王国最強叙勲騎士の家だ。ミランダの養い親でもあり、少し聞いただけでも父とは不仲だったはずの男である。
「お父様が何でココに……」
ミランダのの話では、父とミルカは浮名を競いあった仲。しかも勝利したのは父である。
武力最強の敵対者の所にいるお父様……意味がわからない。
ほんとにコレ、誘拐じゃないんだよね?
ミルカ・ヘルレヴィと戦う事になった場合はミランダが頼りだ。彼女にもすでに言い含めてある。
「さっさとして」
弟となったエイベル少年はさっさと丸太小屋の扉を開ける。
「エイベル、早かったのぅ」
「おー、息子! おかえり」
テンションの違う二人の声。どちらかがどちらかなど、火を見るより明らかだった。
湧き上がる怒り。
「お父様!!!!」
エイベルを押しのけ飛び込む。
「一体どういう事ですか! お母様には自分で仰ってくださいねっ、私が処理する件じゃないでしょう?! 大体、子供拾ってくるならくるで、もっとマシな拾い方とお披露目の仕方があったんじゃないですか?! 誘拐だって騒ぎになってるのに、蓋をあけたら、この子を誘拐したのはお父様らしいじゃないですか! やってられませんよ!!」
ほぼ、怒鳴りつけた。
父は驚いた表情でカップを手に固まっている。
「これが……」
父が小さく呟く。
「これが反抗期、なのかな……」
はあ????
「そうか、娘1も成長していっているんだね」
「違うじゃろ」
「そうだ! 娘1、深呼吸してごらん? とっても落ち着くよ!」
叫び出したい気持ちを押し殺す。
言われたままするのは癪だが、落ち着いて本来すべき話というものをしなければならない。
「お父様……誘拐したんですか? このエイベルを!」
少年の肩を掴み、前に引き出す。
父は私と少年を交互に見遣り、頷いた。
「そうだね」
「そうだね???? 受け入れちゃうんですか? まさか、こんな子供が本当に『魔王』って信じてるんですか?」
「信じるも何も、魔王だからね」
「断言?!」
「娘1、何が言いたいの? はっきり言ってごらん。こうして『場』を整えてあげたんだからね」
ととのえてあげた?! 何様なのよ……って、お父様だけど。いったい、どういうつもりなの?
〈チャーリー〉
何よ?
〈『正しい質問ができるかな』って楽しみにしてるみたい〉
元天使の言葉に舌打ちする。父の満足を得られるような質問など考えつかない。
元々、父とはタイプが違うのだ。
どこまでも、……お父様はお父様ね?
読んでくださってありがとうございます。
ブクマ・★評価も嬉しいです♪
「面白かった!」
「今後の展開は?」
と思われた方は下の☆☆☆☆☆から(★数はお好みで!w)作品への応援お願いします。
ブックマークやイイネも励みになります!
よろしくお願いします(* . .)⁾⁾