表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/375

◆ 14・対峙と追及(前) ◆


 馬車からは赤焼けの空が見える。

 向かいはミランダ、隣には新規の弟エイベル。馬車は一路、地図の場所へと向かっている。


「はぁ……」


 口を出るのは溜息ばかりだ。家を出る直前まで、母と言い合いをしたのだから当然だろう。

 母が心配するのも無理はない。

 だがエイベル少年の説明を含め、今回の『誘拐』話を納得させるにはいくつもの段階が必要になる。最終的には「全面的に任せてほしい」とだけ伝え、錯乱気味の母をメイドたちに押し付けたのだが――。



 どう説明したら……。

 実は私って『聖女フローレンス』を輝かせる『悪役』だったんです、とでも言えばいいの? 立場上『魔王エイベル』と仲良くしたいので弟にして欲しいって?



「無理があるわ……」


 静かに鎮座する薄汚れた格好の少年を見つめる。


「ねぇ……、あんた、エイベル君、いや、……魔王様。『君は魔王です』って言われてどうだった? ってか、ソレを信じてるの?」


 エイベルは相変わらずの冷静さでこちらを見上げる。


「どっちでもいいよ。メンドー見てくれるなら」

「魔王でも?」

「いいよ。オレ強いしナットクする」


 子供の言う『オレ強い』発言にはどれくらいの信憑性があるだろうと悩むも、彼は魔王だ。本当に強い可能性は充分にある。


「例えば?」


 促す。


「たとえ?」

「凶暴動物を一撃で即死させました、とかよ。そういうのよ」

「ドーブツとは仲良いよ」

「建物を一撃破壊とかは?」

「……ベンショーできないコト、やらないよ」



 この子……魔王なんだよね?



「なんか悪い事の経験ない?」

「うーん……なんだろ」


 悩むエイベル。

 ヴィンセント王子よりはマシかもしれないが、所詮『普通』の子だ。彼を『魔王』に仕立て上げる事は大変だと分かる。



 どっちにしろ苦労しかないのね……。

〈この子……、悪い子〉

 ん? 天使のあんたが言う『悪い子』ってどんなレベルよ。それこそ信憑性ないわ。



「まぁ、いいわ」



 どちらにしろ、私には魔王育成の義務が掛かってくるんでしょ。受け入れるわよ、受け入れればいいんでしょ。



 エイベルをしっかりと見て、人差し指を突きつける。

 彼は指を凝視した。


「弟になったからには姉の命令、……いや、私の命令は絶対よ!」


 フローレンスとは敵対関係となるのだ。

 彼とフローレンスが親しくなるのはまずいと思い至る。



 いっそ仲が悪いくらいが丁度いいかも?



「私の事は『お姉様』と呼びなさい。フローレンスの事は……『姉2』で」

「え? あねに?」

「そうよ。そしてフローレンスとは仲良くする必要なしです、決定です。大丈夫、お父様の基本が『娘1』と『娘2』なんだから」

「……へぇ」

「エイベル、返事は?」


 高圧的と思われても構わないとばかりに言えば、相手は素直に頷いた。


「わかったよ。……オネーサマ?」

「よしっ」



読んでくださってありがとうございます。

ブクマ・★評価も嬉しいです♪


「面白かった!」

「今後の展開は?」

と思われた方は下の☆☆☆☆☆から(★数はお好みで!w)作品への応援お願いします。

ブックマークやイイネも励みになります!


よろしくお願いします(* . .)⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ