表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

121/375

◆ 10・行方捜し(後) ◆


 ひたすら待つのも落ち着かない。

 足先からジワジワと焦燥が駆けあがる。



 天使の特殊能力で、聖女の居場所とか分かったり?

〈今のわたしは……、前とは違うから〉

 前?

〈だって、堕天しちゃぅた〉

 あぅ、……私のせいかよ!



 結局、翌朝になっても芳しい報告は得られなかった。



 もし、聖女に何かあって、例えば死んでたりしてた場合って……。

 もしかしてしなくても、私、自分でリスタートしないといけなかったり? いやいや運命共同体として、ルーファがそこはちゃんとしてくれてるはずよね?? って、思っていいんだよね? 

 流石に人を当てにしすぎてるかっ。

 いや、私のやり直しはルーファの飢餓スタートでもあるわけで……。



 父も戻ってこないまま、日常を送る。

 どこかで何かをかけ違えたような気分だった。



◆◇◆



「え?」


 悶々とした一日が過ぎようとしている夜。突然母に呼び出され、衝撃の言葉を放たれた。


「もう一度、言いましょうか?」

「いえ……えっ、と……確認させて下さい。フローレンスは依然として行方不明、お父様は誘拐。誘拐犯本人が来ている、と?」

「ええ、ちゃんと伝わっていて安心しました」



 冗談キツい!!!! フローレンス捜しで心はいっぱいなのに、お父様が誘拐!?



「お母様、言い値を払いましょう」

「お金は要求されていませんよ?」

「金をチラつかせて、金に食いつかせましょう」


 こんな時こそ財力に頼るべきだと進言するも、母は首を振る。


「チャーリー、犯人の要求は貴女です」



 は?



「私?」


 真っ先に浮かんだ事と言えば、過去の過ちの数々だ。

 権力を振りかざした虐めに威圧行為――諸々がよぎる。



 土下座謝罪はしてもいい……だが、命は勘弁してほしい。



「会いましょう。……ミランダと」


 一応の対策にミランダを見る。

 彼女も心得たとばかりに黙礼する。意図が伝わったのだろう。


「いえ、相手の要望は貴女一人で……との事です」



 そんなのありか?! こう見えても貴族の、結構デカい貴族家のご令嬢ですけど?! 一人でヤバそうな人と会えって????



「チャーリー、これを」


 母の白い手が手斧を差し出した。


「餞別です」

「お母様?!?!」

「いざと言う時はお使いなさい」


 慈愛の笑みを浮かべる母に、顔を引き攣らせながらも受け取る。

 肘下程の尺がある斧は隠しようもない。

 銀色に光る鋼を見つめ、しっかりと手に持った。


「行ってきます」


 気分は捨て鉢。

 だが、私も侯爵家の令嬢である。誘拐犯の一人や二人で怯えはしない。



 お父様には悪いけど、ヤバそうだったら保身第一でやらせてもらうわ!

 幸い、人の目はないんだし……どうとでもなる。




読んでくださってありがとうございます。

ブクマ・★評価も嬉しいです♪


「面白かった!」

「今後の展開は?」

と思われた方は下の☆☆☆☆☆から(★数はお好みで!w)作品への応援お願いします。

ブックマークやイイネも励みになります!


よろしくお願いします(* . .)⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ