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◆ 5・父の封書(後) ◆

◆◇◆



 父は、まともに聞いてまともに答える人ではない。

 いつもおどけた口調と態度で煙に巻くのだ。もしかしたら、こういう性質だからこそ政治家として上手くやれているのかもしれない。

 カエルとはまた別のタイプだ。



 正直羨ましくも何ともないけど……。お父様とカエルが、まさか結託してるとはね。

 まぁ『何を』かは、まだ分からないけど、カエルが関わってるなら……少しはマシな事だと思いたい。



 陽の落ちた廊下を歩く。

 一歩前にはミランダが、カンテラを手にしている。

 夕食は食べ損ねているし、気力も高いとは言えないがやるしかない。

 父の部屋の前でたっぷりな時間悩み――自分で入室の挨拶をした。



 あれ……?



 入室OKの合図が来ない。父はともかく、父付きの侍従まで反応なしというのは可笑しい。


「お父様?」


 再度呼び掛けるが返答はない。



 人が用事の時に限ってコレよ! ルーファは所詮悪魔だし、カエルはいないし。状況を問い詰められるのお父様くらいじゃないの……。



 肩透かしを食らった気分だった。

 怒り任せてドアノブを掴む。

 ぐるりと回るノブ――いよいよもって不自然だ。


「お嬢様……はしたないですよ」

「お父様が倒れてないか心配なのでー、入りますね。大丈夫ですかぁ?」

「お嬢様!」


 ミランダの咎める声。

 言い訳を口にしながら中に入るも、薄暗い室内に人影はない。



 まぁ、いないから勝手に入れたわけだけど。

〈チャーリー〉

 またお小言?

〈チャーリー、魔法の匂いがするよ?〉

 どんな、匂いよ。お父様が使ったって事?

〈それは、分からないけど。移動魔法かな?〉

 そんな事まで分かるの?! 流石は天使!



 思っても見なかった天使の能力に驚く。



 どこかのタイミングでアーラの能力値を調べておく必要があるかもしれない。何が役に立つか分からないし……。



 いつもゆっくりと見る時間のない父の部屋。

 今は暗く色合いも分からないが、青を基調に纏められた部屋で、値段の張る調度も多い。

 かつて出奔する折には売りさばいた事もある。

 続けてミランダも入室してきた。



 変わってない……あの時も暗い中、大急ぎで盗みだしたっけなぁ。



 棚から巨大な机から全てが整頓がされているのは、私と同じくメイド達の賜物である。

 旅愁めいたものを感じる私は、父の椅子に座る。


「さて、今回は金目の物より情報よね!」

「お嬢様?!」



〈チャーリー!〉



 咎める天使の声を無視して、卓上の燭台に火を灯す。

 まず目に付く物といえば、大量の紙類だ。チラリと見ただけでも頭が痛くなるような数字混じりの表ばかり。

 手当り次第に次々手に取り繰っていく。


「何を探してるんですか?」

「……それっぽい物よ」

「例えば?」


 カエルや教団関連の『何か』が好ましい。

 黙々と目を走らせる私に、ミランダも手にしていた燭台を下ろして参戦した。



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