10光年くらい遠くの流れ星
5歳の時、私はお家の中から流れ星を見ていた。
お兄ちゃんに、オマエはバカだと笑われた夜のことだった。
「ちょう てんさいに なれますように」
流れ星が、キラリと光った気がした。
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15歳の時、突然勉強が出来るようになった。
希望の高校に進学でき、いよいよ華の高校生だと思ったときに、私は気が付いた。
私みたいなブスな顔では、青春を謳歌できない、と。
学園祭の夜、キャンプファイヤーの周りで男女が躍るオクラホマミキサーを遠くから眺めていると、不意に空に流れ星が流れた。
「超絶美人にしてください」
流れ星が、キラリと光った気がした。
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25歳の時、突然モテだした。
周りにチヤホヤされて、調子に乗った。
結果、クズ男に騙されて、真夜中にヒールの折れた靴を両手に、裸足で自宅へと帰るところであった。
ふと、空にまた、流れ星が流れた。
涙を流しながら、馬鹿な願い事をしてみた。
「超絶イケメンで一途な石油王と結婚できますように」
流れ星が、キラリと光った気がした。
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35歳の時。
仕事で失敗し、男でも失敗し、私は多額の借金を背負うこととなった。
真夜中の会社のビルの屋上で、靴を揃えて向こう側へ飛び降りようとしている時。
ふと、空にまた、流れ星が流れた。
「……こんな世界、滅んでしまえ」
私は、呟いた。
「生き残った全人類、何十年も死の苦痛を味わいながら、全滅してしまえ!」
そんな呪詛の言葉を吐くと、流れ星が、キラリと光った気がした。
私がそのまま、足を踏み出そうとすると……。
「チョ、チョット、マッテクダサーイ!」
突然、私の腕を掴む男性の手が。
「アヤシーモノデハ、アーリマセン!
ワターシハ ナントカコクノ セキユオーデース!」
「せ……石油王?」
「アナタ二 ヒトメボレ シマシータ!
ケッコンシテクーダサイ!
ワタシハ イチズナ セキユオーナノデ アナタ ダケデース!」
「せ……石油王さん……!」
私は歓喜の涙を浮かべた後。
10年後の未来のことをちょっと考えて。
……屋上から夜の闇に飛び込むことにした。
~10年後~
石油王「オゥ、ワターシノ ユデン ガーッ!?」




