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プリンケプスは見た

国会議事堂、日本においては板垣退助による民撰議院設立の建白書が発端となった「自由民権運動」によって明治期創立される。

「国会」と呼ばれる機関の歴史は古く。古代ギリシア世界では「民会」共和制ローマでは「元老院」(民会も存在)として、数々の歴史的事件や工作が行われてきた。

中世紀においても、英国では議会、仏国では三部会として存在を続けている。


話を日本へ戻そう。日本は創立後大正時代の黄金期を過ぎるとまず「軍部」に国会は屈服することとなり、戦後はその低い投票率に頭を悩ますこととなる。そんな最中二大政党である、「民和党」こと民主共和党と「憲自党」こと立憲自由党は、数十年の間攻防を続けていたが、国民の政治に対する感情の薄さのためか、アメリカ程注目もされず選挙は数十年間の間「憲自党」が保ち続けていた。そのためか、憲自党幹部や党組織は腐敗し、賄賂や汚職にまみれることとなる。しかし投票率が低ければ自浄能力が働くはずもなく2031年を迎えることとなる。



2031年10月1日鹿児島市

「今回の衆議院選挙には憲自党所属25才の楠 恭介氏が初当選し…」テレビのキャスターが告げる。

「今回の投票率は26%でした」と告げる、不正がないのは満点だろうが、これで選挙などと呼べるのだろうか?そんな思いで一路東京へと旅立った。僕は楠恭介、今回の鹿児島選挙区衆議院選挙で当選した衆議院議員である。

空港から飛行機に搭乗し景色を眺めながら、これからこんな国を納めていく政治家の一人になるんだなぁと思いながら羽田へと向かう。

いくつかの人工密集地を見れば、そこに想像もできないくらいたくさんの生活があるんだなぁと実感する。戦後86年経ち満州事変からは100年の月日がたつ。

虚栄の国か、はたまた本当に豊かな国なのか目に写るもの全てが真実などとは最早思うことはやめた。

「あれからもう十年か、」そう呟いたのは天空の鉄の容器のなかに居る、一市民であった。


東京


「楠さんですね?これから党内会議が始まるのでお車にお乗りください」と党から派遣されてきた秘書は言う、「ああ」そう言って車に乗り込み霞ヶ関へ向かった。

憲自党党内会議

「かの者の息子が会場に参りました」そう年老いた秘書は幹事長に言う。「まさかこの党から出馬するなんてな、民和党から出るのかと思ったが…まぁいい、あれは「形式上」事故だからな気にする必要もあるまい」と一瞥した。

「ここか、でかいなぁ」「初めてですか?」秘書に聞かれる、「逆に初めてだと思うのかい?」すると秘書は押し黙ってしまう。

「今日からはこんなビルを持ってるやつらが仲間なんて、心強い限りだな」と思ってもいないことを口にして建物のなかに入る。

「鬼霧幹事長様、ご機嫌麗しゅうございます。私もこの度当選致しましたので、お国のため、全力を持って議員の職を全ういたします」

また思ってもいないことを言う。

「十年前の事故は災難だったな、楠議員」

試すように言う、その為僕は

「あのときはご迷惑とおかけしました」そう他愛のない返しをする。「明日からの通常国会での議題だが、切迫する国際関係の中自衛隊予算の切り上げを我が党が求めたところ、マスコミ・野党揃って全面戦争の構えだ、皆協力してこの法案を通すぞ!」

日本は超大国と呼べる存在に囲まれている。

そして、近年太平洋上には謎の海賊が出没しており日本経済のみでなく、世界経済は混乱を極めている。それに際して、アメリカは海軍と海兵隊を派遣するも、上手くいっておらず一方で中国の人民解放海軍はアメリカを初めとした周辺諸国から入港を拒否されており、現実的に海賊討伐は上手くいっておらず、日本の物価は急高騰。自衛隊の防衛出動が囁かれているのだ。

海上保安庁では全力で警備に当たっているものの、神出鬼没とも言える海賊に現行の法制では対処が追い付いていないのだ。

「一番の問題は予算つり上げに対する、予算の集め方でしょうな」そう言ったのは、大石財務大臣である「戦時国債のようなものでも発行するのか、はたまた増税するのか…」すると党政調会長は「増税はあり得ませんな、現在の経済と消費の落ち込みを考えれば悪手も悪手です、戦時国債の方も現実的ではありません、皆さんは我が国の債務がどんなものか知っておりますかな?」一同がゲッって顔をする。

「270%です、このままでは財政が破綻します。」「しかし防衛費の切り上げは急務であるぞ!」と左納防衛大臣は言う。ほっておいても滅亡手を出しても滅亡。さてどうやって解決するものか、国家の存亡を懸けた理念通しがぶつかり合う。

そこで一人の新入りが手をあげる、楠である。

「国連軍を結成するよう呼び掛けるのはいかがですか?」すると嘲笑うように佐納が「それになんの意味がある?我々が賊を一つ討伐できない無力な国であることを内外に示すこととなる」と言う「敵を割り出すのです、並大抵の族ではあそこまでできないでしょう、我が国や米国を初めとした国に主権を握ってほしくない第三国の仕業だと考えるのも無理なく、ちゃんと情報を統制すれば、「敵は強大であり、全世界共通の敵である」こういうメッセージにもできるわけです」すると鬼霧幹事長は「我々は平和主義国家だ、内外に敵を作る政策は大手を振って指示できんな」というと楠は微笑したのちに「我々には既に大義名分はあるし、治安維持と国民の安全を保障する義務が存在することをお忘れか?これは戦争ではありません、それに国連軍を派遣し我々は手を出さなければよいではありませんか」というと外務大臣である在原は「イラクや湾岸戦争の蹉跌を踏むというのか?」と尋ねた「手を出さない、という意味を間違ってとられてしまったようですな、私が言っているのは増税に、手を出さないということです。それに我々は海自を派遣せず空爆だけしとけば立派に闘ったことになるのではないですかな?佐納防衛大臣はこれについていかにお考えか、」すると振られると思ってなかったのか佐納は「海上自衛隊を派遣すべきだと私は考えるな、彼処は我が国の領海だ、我々が防衛すべきだと思うが」すると楠は「第2次世界大戦の時代、我々は海の戦いは平面上だと信じて疑わなかった、しかしそうではなく海上よりも上空からの爆撃で戦艦・空母、そして国民は沈んだ、これだけの被害を出しても航空機に対する不信を持つのですか?」と問えば「我々は相手を殲滅するために戦うのでは無く集団的自衛権を守るためにだな…」「下手に残せば復讐心を書き立てられた残党が一億国民に危害を加えるのみで、寧ろ危険ではないですかな?」すると

パンパンと手を叩く音が聞こえ鬼霧幹事長は

「流石’彼’の息子さんだ、ここは彼に任せてみてもいいんじゃないかな」会議は終わった。

時の内閣である、木芽内閣は

2031年10月1日午後19時8分

戦後初の自衛隊に防衛出動を指令することを発表、周辺諸国も遺憾の意の声明を出すものの、予想ほどの反発はなく、この国の「戦後」は終わりの始まりを迎えたのだった。

それから二時間前

ニューヨーク国際連合本部

「以下の点から、近年出現した賊を討伐するに当たって、この海域は世界経済を支えるパイプラインであることを頭の片隅においてもらった上で、国連軍を日本国は結成することを要請します」日本の要請によって行われた国連安全保障理事会の終幕をそう締め括り、珍しく米中は賛成を示し、ロシア・イギリス・フランスもまた賛成に最終的に回ることによって、史上初、国家以外の対象にたいして国連軍が出動することになったのである。

しかし、珍しい正当な理由の派遣の裏では各国の思惑が交差していた。英仏は太平洋への影響力回復、アメリカは対露中への牽制、中国は資本社会主義の拡大であり、ロシアは大量の賄賂である。


10月2日国会

「これはいったいどういことなのか!」そう声を尖らせるのは民和党投手斎藤孝則である。

「違憲ではないのか?」「憲法を守れ!」マスコミや周辺諸国からの猛批判を受けることとなった日本政府。憲自党は火中の栗を誰も拾おうとしなかったがため、前には楠に一任するという大命を‘天皇’と首相名義で命ずることとなる。その命は「族の討伐」である、つまりは「責任とれや?」と言うことである。

こうして、舞台が出来あがった。

「反論ができるというのなら、言ってみるといい!」すると楠が手をあげる。「楠議員」議長が楠を呼び、楠が起立し、彼は持論を展開することとなる。「では、ですね?我が国は決して他国を攻撃する「侵略」ではないということをお解りいただいた上でですね?憲法9条には「如何なる戦力も保持しない」との明記があります。そして現行政府の解釈では「最低限度の実力」を持った自衛隊であり、更には領内の「現行の警察力及び、海上保安庁で対処できるテロリストではない」というのもおわかりだと思います、更に我が国とその同盟国には「集団的自衛権」が存在するわけでして、実際にアメリカやオーストラリア、インドそして我が国の船も攻撃を受けており、このように急速に悪化する「治安」を安定させるため、「治安維持」と「国民の安全保障」の為政府は、「最低限度の実力を持った」自衛隊に防衛出動を命じたのであります。つまり、違憲ではありません」と論じた「屁理屈に聞こえてならないな」そう斎藤は言うと、楠は「その屁理屈に対する反論を僕はまだ聞いていません」と言い、斎藤は「そもそも武力鎮圧へ動くのが早いのではないかな?」「それは現在の世界経済を見ても言えることですかな?」質問に質問で返されたからか斎藤は言葉に詰まってしまう。

「予算は、どうなさるつもりかこの時期やましてはこの時期でなくとも国債の発行は現実的ではなかろう」斎藤は続けた。「増税する気も国債を発行する気もありません、寧ろどうしてテロリストが出たからと言って増税する「治安維持部隊」何てありますか?それが「軍隊」ならまだしも、財務省の調べによると防衛省には、結成以来一度も「治安維持」に当たっていない自衛隊の予算は一兆二千七百飛んで五十円余っているはずです。この金額でテロリストは鎮圧できないとお思いか?」これは民和党というよりか身内向けの攻撃であった。無論それは横領されている、そのポケットマネーを出せよと党の幹部へと静かに主張したのだ。

こうして始まった楠劇場は朝 昼 晩続き、民和党憲自党関係なく幹部の顔が真っ青になったという伝説を作った。

「やはり奴の息子は奴同様食えんな、」そう鬼霧は言うと木芽は「相変わらずという奴だな、なぜ劇場を作ってやったんだ?」と聞くと鬼霧は「あいつを物差しにかけたつもりだったんだがな…」そう言うとネットワーク庁長官である、針川が「こうなったわけですね」とスマホに写るソーシャルネットワーキングサービスの画面を写す。画面には「帰ってきた楠!不幸からの復活に期待沸騰中」、「改革の狼煙が上がる、目指せ日本復活」、「すごい人気ですな」そう鬼霧は窓の外の摩天楼を眺めた。

時代は転換点を求めている、今までよりも大きく、そしてパワーのある物を。

楠は東京の拠点へと帰ってきていた。彼もまた摩天楼を眺めた後に、「帰ったよ」と家の奥へと足を進めれば、何やら良い臭いがして楠は初めて自分のお腹が減っていることに気づいた。彼は酒やタバコ等とは無縁な人間であるが、感情的なもので腹は膨れてしまっていたようなのである。「お帰りなさい!」と‘嫁様’の桜子さんは言う、「いい臭いがするね、夜ご飯作ってくれたの?」そうすると「えっへん!今日はね、カツ丼作ってみたんだよ~」カツ丼とは、また絶妙なラインだなぁと思いながら「今度死ぬかも知れないんでしょ…」あれなんか話違ってね?「ゑ?」と言えば「木芽総理が直々に「誠に遺憾ながら死地に送ってしまうことになる」って言ってたから…」あのやろう話違うぞ!「思い出してご覧なさい桜子さんや、僕のお父さんは単身テロリストの占拠してるビルに突っ込んで仲間にした奴だぜ?そいつの息子は簡単には死なんさ」すると桜子はだまって「嘘ついたら天国まで追い詰めてやる」と言うので,一秒のことだっただろう「追ってんじゃねぇーよ」との冷静な突っ込みを入れ、「僕が死んだとしても、君は生きて、この国の未来を寿命が果てるまで見るんだ、それから僕を好きなだけ追い詰めるといいし、」スゥーっと吸って「俺には死ねない理由があるからな」「死亡フラグたててんじゃ無いわよ!」ペッシーンとぶっ叩かれる、これが彼女の落としこめかたなのだろう。

「「いただきます!」」すると桜子は豪快な素振りで、言い方が悪いが掃除機のように丼の中を消滅させた。「はしたないからちゃんと食べなさい」というと「フムフム!ムフームームー!」「食べながらしゃべらないの!」「ムー」口を一杯に膨らませて、口をとんぎらかし折角綺麗な顔も台無しである…………が、それが良い!

「顔だして、」すると顔を出す桜子のほっぺについた卵のカスをハンカチで拭く、まるで子供みたいじゃないか「よし、取れた」すると桜子は「お酒のみたい!」「だめです!」こうして、僕の睡眠をかけた戦いが、今、始まる!








―――――――――――寝れませんでした☆

不眠の中僕は、用意された車に乗り何処かへと向かう。僅か一週間でまた東京を出ることになるなんて、今度は沖縄へと向かうこととなった。内閣から正式に要請されてしまったので行かされることになるのは解っていたが、あいつら無駄な仕事はとんでもなく有能なんだな、と心底あきれながら車に揺られる。

「族追討軍政府代表」肩書きはいつも立派だが内容はシンプル、責任をとれ、そういうことである。「何処行くんすか?」と運転手へと聞くと、「聞いてなかったんですか?横須賀へと向かっているんです」通りでみらとみらいが見えるわけね、そう流れていく景色に見えるのは人工色で彩られた高層ビルである。


神奈川県横須賀市

「こちらに御乗船ください」と言われて連れてこられたのは、海上自衛隊の揚陸艦という名の空母、やましろである(カタパルトまでついてる)「あの~これからもしかして実戦すか?」

と田辺幕僚長に聞くと、「あなたが言ったんでしょう?」







次回「政治家、実戦を知る、というか戦う」

じゃねぇーよ!おかしいだろ「解りました、もう死ぬ覚悟と、全員生かして帰す責任が僕にはあります」と言えば苦笑して「それは、幕僚の仕事では?」と言うので「いえいえ、これでも政府代表ですし、父や先人に顔向けできません」それに、と付け足して「死を知らず、国民を生かす方法知る、なんてことはないでしょう」そういうと田沼は「変わってないな、楠」そう彼とは、大学の‘悪友’である。

「変わってないのは君の方だろ?相変わらず社会集団で生きるのは得意なようだな」と言うと「お前に言われたくないぜ」「言われたくないほどの人間は死地に送られねぇよ」と言うと、「我が征く先は敵の死屍累々蔓延る墓地である!総員悪霊をもてなす準備をせよ」と艦内放送をし、キマッたな…という顔をするので「あー僕負けるきしないなー、とでもいえばいいの?」「ア?」「誠に遺憾」「本物の始めてみた!」遺憾だ…




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