だから金持ちはきらいなんだ。
学園が夏休みに入ったので、私はいつものようにベルンの部屋にいる。
遊びに来てるんじゃないよ。
ここに軟禁されているの。
間違えた。
居候しているの、だ。
この国、意外とって言うか、本当に夏が暑い。
子供のころから寒さには強いけど暑さに弱かった私は、夏になると毎年死にそうになっていた。
毎年体重が三分の二になるくらいのひどさだった。
毎年なんとか生き残っていたんだけど、ベルンに会って初めての夏。
いつものように遊びに来たベルンは、涼しい場所を求めてウロウロしたあげく、庭の奥にある地下水が湧く小川に沈んでいた私を発見した。
ベルンは当然驚いた。
驚いて、両親の話を聞いて、溺死体のごとき私をそのままベルンの乗ってきた馬車に乗せ、この部屋に連れてきた。
この部屋には、ベルンの冷却魔法がかかっているから、夏でも涼しい。
それから毎年、外部気温が30度を超えると同時に、ベルンが迎えに来る。
最初は遠慮して逃げたけど、逃げる途中暑さに負けて何度か死にかけて、監禁になりそうだったから諦めた。
それから毎年、夏の間はここに居候している。
まぁ、ここに居れば快適なのは間違いない。
家の親も、ベルンの親も、子供のころからの付き合いだし、婚約してるから一緒に住んでもいいんだって。
ベルンの親に至っては、何があってもちゃんと責任取らせるから、と言う一筆つき。
意味不明だ。
あ、ちなみに生活の部屋はちゃんと別だから。
何だかんだ言ったけど、王宮なんて馬鹿みたい広いから、私が一人くらい多くなっても構わないらしい。
けっ!