私の噂と、婚約者への愚痴。
スペック高いただの人のエリザベスこと、私だけど、最近変な噂が出始めた。
ちょっと失敗した使用人を首にしたとか、
暴力をふるったとか、
家の力を使って他家やら店やらをつぶしたとか、ありえん話しが目白押し。
さらには、無理矢理ベルンの婚約者におさまっているとか言われている。
どれもこれも、小心者の私に出来るとは思えない所業だ。
そんなことが出来るくらいなら、とっくの昔に婚約者の座から退いている。
決まった時にはもう記憶があったから、そんな面倒な立場なんて死んでもゴメンだったのにさ。
私に断る権利が無いのにそんなことを言われるなんて!
婚約者になったのは、たまたま家柄と年齢があった。それだけで。
私がベルンの婚約者であることが嫌だと、ベルンは知っているし、思い切り断って、断れないならと条件つけたくらいなのに。
ベルンとは、最初から庶民丸出しで付き合っている。マナーなんてどっかにおいてきた。大体、まだ年齢一桁のお子様が丁寧語やら敬語ばかりなのも変だし、何よりベルンに敬意を払うなんて面倒だった。
おかげで、幼馴染としてなら誰よりも仲よし(?)にはなれたと思う。
五歳から十七歳まで、ほぼ毎日一緒に居るくらい仲良しで、私のことは私より知っている筈なのに。
普通の侯爵令嬢として、普通に生きて、それなりに良い評価を受けているのに、自分がやっていないたくさんの噂。
もう聞きたくないって言うのに……。
なのに、ベルンは言いたいやつには言わせておけばいい、ほおっておけと言う。
ひどい男だ。
言われるのはいつも私で、ベルンじゃないのにさ。
あーあ、いやんなるわ。