ゲームのことで、愚痴る。
私が転生したのは乙女ゲームなのは間違いない。タイトルは……うん。
うん。
……
攻略対象者は、確か六人。王子様やらなんやらの金持ちのやたら綺麗な男たちとその婚約者、そして光魔法に目覚めたヒロインが織りなす“こい”模様。
鯉でも、故意でもない、恋だ。
婚約者いる相手に恋って。アホか。
いや、いいのか。
いや、駄目か。正式な婚約者ならイシャリョウが発生する。そうだ、駄目だ。
真実だろうが、嘘だろうが、浮気、二股、略奪コンボだ。
不倫、ダメ、絶対。
で、ダメ、絶対な浮気をする私の婚約者は王子様だ。
学園の入り口でヒロインと出会うタイプの、典型的なメイン攻略者。
オレこんなに頑張ってるのに認めてもらえないとか甘えたこと言っちゃうアホな子で、ヒロインの優しさと“オレ”を認める心あたたまるお言葉にコロっといっちゃう。
健気に頑張るヒロインを守るオレ、超カッコイイと思ったかは謎だけど、ヒロインがいじめられたのを全部まるっと私のせいにして断罪しやがる。
まぁ、悪役令嬢だからそれなりの悪事はしてたけど、全部じゃない。他の人もやってたのに。
それに、ヒロインを操っている時は良かったけど、今思えば、ハナから浮気する男に恋するってどうよ。
ゲームが始まった瞬間から、略奪愛なわけでしょ。
婚約者がいるって知らなかったとか言うけどさ、知った時点でどうするかだよね。
けじめもつけられないような男を、ヒロインともあろうものが好きになるかと言う疑問。
よくこんなゲームみんなやってるな。―――って私もやったけどさ。
こうして自分がその当事者になってみると、
―――自分、そんな女になりたくないっす。
好きだけど諦める! 諦めて涙を飲む女、そんな女になりたいっす。
あー、悪役令嬢でよかった!
なんて思うかぁ!
はぁ、はぁ。疲れた。
また、無駄な体力を消耗してしまった。