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Another life  作者: 神緑三春
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002 兄妹

 「すごいなこれ……」


 石畳の広場を見渡すとそこには別世界の生活風景が広がっていた。

 ここがこの街の中心なのか四方に伸びる道は大きく、そこに建っている店は多種多様なものを売っている。

 また少し耳を傾けるとNPCの一人一人が違う話をしており、主婦のような人間族は今晩のご飯の話、冒険者のような風貌をした獣人族は魔物の皮の根切の話をしているのが聞こえてくる。


 「っと、兄貴たちを探さなきゃだな」


 このALは通話機能が無い、正確にはそれ専用の魔道具が必要でそれもそれなりの値段が張るため自由に通話できるようになるのは少し先になるそうだ。


 「にぃ」

 「その声はあ「こっちではソウ」、ソウね、俺はクオンな」

 「クオンにぃね」


 後ろから声を掛けられ振り向くとそこには父親に似た俺と同じ不愛想な釣り目で水色に近い青い髪を肩にギリギリつかない程度に切り揃えた一番下の俺の妹、蒼音が立っていた。

 身長的には約160cmほどで現実とあまり変わっていないようだ。


 「兄貴たちは見つからなかったのか?」

 「クオンにぃが一番見つけやすかった」

 「ほぼほぼ容姿変わってないからな」

 「ん、他二人さがそ」


 そういうとふらふらとソウは人込みをするする奇麗によけて他二人の兄妹を探し始める。


 「あ、お兄ちゃん!」

 「二人とも一緒にいたんだね」


 探し始めて数分後、兄貴ともう一人の妹を見つけることができた。


 「く、じゃなくてお兄ちゃん、だと被るし……」

 「とりあえず集まったしみんなの名前も知りたいから自己紹介しようか」


 なんて呼ぼうかもごもごしていたもう一人の妹の朱音を見かねて兄貴が提案を出す。


 「賛成」

 「あ、いいね!」

 「言い出しっぺだし兄貴から頼む」

 「はいはい。僕はこっちではシオンって名前で、羽が見えてる通り悪魔族だよ。武器は剣全般をまんべんなく使う予定かな。魔法は雷を使うよ」


 そういう兄貴は現実より少し高い背丈で180cmほどになっている。髪は茶色に染められ短くさっぱりと切られていて母親似のやわらかい顔をしているが見方によっては胡散臭い顔に見えるのを気にしてるんだとか。背中には悪魔族を象徴する真っ黒な羽が生えている。


 「んじゃ次は俺だな。俺はクオン、種族は人間族で武器はこの大鎌、魔法は闇一本の予定だ」


 大鎌に触ったときに相変わらずの黒いエフェクトが出て兄妹と通行人がびくついたが気にしないでおく。


 「その黒い靄は後で聞くとして次私!。私はゲームではアケって名乗ってて、種族と武器と魔法は説明してくれたピクシーさんに魔法全部使いたいって言ったら妖精族とこの杖をお勧めされたからおすすめ通りに選んだんだ。魔法は今のところ火と水と光を使えるよ」


 アケはソウと双子のため身長や雰囲気は似ているがこちらは母親に似たのか人懐っこい少し足れ目をしていて髪は腰まであり茜色に染められている。背中には兄貴とは違う透き通った羽が一対生えているようてぴこぴこと感情と一緒に動いている。


 「最後、ソウだよ。種族は三目族、ランダムのレアみたい、魔法は何故か使えなかった、でも、身体強化?はできてるって言ってた。武器はこの方天画戟を使う」


 さっきは気づかなかったが額の髪をのけるとそこには三つ目の瞳がついていた。

 にしてもやっぱりというか俺以外がいい意味で化け物だな。


 「さて自己紹介も終わったしクオンお兄ちゃんの武器のエフェクト何?」

 「多分呪いのエフェクトだよね、どんな魔剣を手に入れたのかな」

 「わくわく」

 「見せるからソウとアケは離れろ」


 ぐいぐいと寄ってくる二人を手で制しながらステータスと武器の説明文を出して可視化させる。そのうえで武具称号の説明をしてやる。


 □----------------------------------------------------------------□


 ◇ステータス◇


 名前:クオン

 種族:人間族


 Lv:1→3


 HP:450/450 (4)→550/550 (4)

 MP:150/150 (4)→400/400 (8)


 STR 14(14)

 DEF 4(4)

 INT 9(9)→11(11)

 RES 4(4)

 DEX 19(19)→20(20)

 AGI 9(9)

 LUK 4(4)→6(6)


 SP 10→0


 ◇種族称号◇

 ・器用な不器用


 ◇武具称号◇

 ・嘆きの亡者


 ◇装備中称号◇

 ・大鎌を扱い始めた者 Lv2 NEW

 ・魔力を扱い始めた者 Lv3

 ・闇魔法を扱い始めた者 Lv2

 ・呪死の隣を歩む者 LV1 NEW

 ・


 ◇通常称号一覧◇

 ・大鎌を扱い始めた者 Lv2 NEW

 ・魔力を扱い始めた者 Lv3

 ・闇魔法を扱い始めた者 Lv2

 ・呪死の隣を歩む者 Lv1 NEW


 □----------------------------------------------------------------□


 □----------------------------------------------------------------□


 ・大鎌を扱い始めた者 Lv2

 大鎌を扱い始めた者の称号

 レベルを上げていくことで大鎌を扱う威力や精密制などが上がる


 ・呪死の隣で歩む者 Lv1

 呪いでギリギリの戦いをする者の称号

 状態異常呪いかつHP1の時HPとMP以外のステータスを1.03倍する

 この称号を手に入れることで手に入れられなくなる称号が存在する


 □----------------------------------------------------------------□


 「また難儀な魔剣を引き当てたんだね。というか魔剣自体地雷な物が多くて選ぶ人がβでも少なかったんだよね」

 「これはクオンお兄ちゃんも面白そうな感じだね」

 「おー」


 ソウはぱっと聞き興味なさそうだが目がキラキラと大鎌を眺めているから興味深々何だろう、あとはとりあえずチュートリアルで戦った感じ楽しかったしこのままで行けるとこまで行こうと思う。


 「んなわけでさっきの黒い靄は呪いのエフェクトだ。称号が発動すると赤黒い感じのエフェクトに変わるんだけどな」

 「「中二?」」


 双子の妹たちがつぶやいた一言に脇腹が痛くなる。VRってこんな感覚も再現してるんだな。


 「クオンをいじるのはそこまでにして、僕たちで一回狩りにいかない?。北のほうは海が広がっていて、他の三方向は東、西、南の順番で敵の強さが上がっていくんだけどどこがいい?。僕のおすすめは西だけど」

 「私は一番難しい南がいい!!」

 「南がいい」

 「まぁ。南でいいんじゃないか?、ダメならまたほかの場所に行けばいいだろ」

 「本当に強いんだけど……。うーん、でもみんななら大丈夫かな?。じゃあ行ってみようか」


 苦笑いしつつ兄貴は俺たちの案内をし始めた。南の門に行く途中は俺たち異界人のための施設が集まっているようで兄貴が冒険に便利な店を教えてくれる。それと同時に危険な場所も教えてくれるがアケがそわそわしてるから逆効果な気がした。

 南の門を抜けるとそこには草原が広がっていて異界人がちらほらといた、ほぼ全員が戦闘慣れした動きをしているうえに途中で兄貴に声をかける人がいることからβプレイヤーが多いんだろう。


 「それじゃ、パーティを組んだことだしここら辺のモンスターを倒そうか」


 そういうと兄貴は遠目に見えるレッドウルフというモンスターを指さした。ちなみに後から聞いた話だがパーティの上限は5人でパーティを組まなかった場合の経験値配分はAIによって決められる戦闘貢献値に依存するようだ。


 「あのモンスターの注意点なん「初撃は貰う」だけど……」


 兄貴の言葉を遮り一言発したソウがレッドウルフの群れに突っ込んでいく。


 「シオンお兄ちゃんは話が長いんだよ」


 アケもそういうと「ソウ待ってよー!」と、魔法を唱えつつソウの後を追いかける。


 「兄貴、ネタバレはつまらないだろ?」


 俺もそんな一言を言いつつ増えていくレッドウルフの群れを刈るために駆ける。


 「……確かに少し心配しすぎたかな」


 後ろでぼやく声と小さなため息が聞こえたが気にしない、そんな兄貴は俺たちの後を追いかけてくると俺の背中に襲い掛かろうとした一匹を的確に切り裂く。


 「サンキュー兄貴」

 「クオンは耐久がないに等しいんだから気を付けてね」

 「ああ、んじゃ少し時間稼ぎよろしく」

 「魔法を打つんでしょ。ほんとは派手に音を立てればもっと寄ってくるんだけどしょうがないな」


 兄貴の何とも言えない目線を感じつつ詠唱を開始する、その時にちらっと妹たちの立ち位置を確認する。


 「炎の矢、水の矢よ相手を捕捉し薙ぎ払え、アローレイン!」


 普通始めたばかりのプレイヤーは一属性しか同時に使えないなんていう常識をぶっ壊して二つの属性を操り、複数同時に倒し切っている規格外のアケに、


 「ふっ!。おそい!」


 空中で回転を加え戦闘にいた相手の首を切り落としそのまま敵の群れへと突っ込んでいくソウの姿があった。


 「わが闇よ、棘となり我が進む道を開けよ、ダークニードル。あいつらが派手に動いてるうちはこの群れは尽きそうにないな」


 俺自身の影から黒い棘付きの蔦が伸び群れの中心へと突き進む。モンスターをはねのけるイメージはどうやら狙い通りに動いてくれたらしくソウへの道を作ってくれる。


 「お手伝いに行くんでしょ、行ってらっしゃい。僕はアケのほうに援護に行くね、あのままじゃ囲まれちゃうと思うからさ」

 「お互い死なないようにな」

 「呪いのHP管理ちゃんとしてね」


 俺たちは笑い合うとそれぞれの行動を開始した。

 さっき作った道を全力で駆け抜けると背中をかまれているソウを発見し、そのまま駆けた勢いでレッドウルフを切り裂く。さっきの魔法でダメージを食らっていた個体だったのかその一撃で沈む。


 「よう、セイ、背中頼めるか?」

 「もち、クオンにぃこそ食らわないように背中守ってあげる」

 「今食われてたセイには言われたくないな!」


 お互いに軽口をたたきながら飛びかかってきたレッドウルフを刈り、うち落としながら一匹ずつ確実に処理していく。


 「セイにぃくるしそう」

 「HPが削られるってことはそれだけ疲労感が来るってことだからな」


 わかっていたことだが長時間の戦闘は呪いによる影響が大きすぎる。MPも魔法を使えば減り、その分の倦怠感に襲われるため、HPとMPの二重苦で集中力を維持するのは難しくなる。


 「だが、まだやれる」


 周りを見れば数が少なくなってきているのが見て取れるため増援が切れたのだろう。最後のひと踏ん張りだと自分を奮い立たせ後ろは気にせず前にだけ意識を集中させる。

 戦闘開始から約20分後一つの群れを壊滅させて俺たちはレッドウルフの素材を売るためにも町に戻ることにした。


 もう一度南の方へ行こうとしたときに兄貴と妹たちから待ったがかかった。どうやら兄貴はβテストの仲間から、妹たちは学校の友人と約束をしていたそうだ。

 まぁ、なんだ、結果だけ言うなら、残念ながら俺は特に約束もしていため、


 「ボッチで狩りか」


 他のゲームで友人はいるが全員ソロ気質なところがあるせいかこういう新作が出ると一人でまず没頭するやつしかいないため一緒にすることがほぼない。

 だから特に友人がいないわけではない。


 「誰に言い訳してるんだか」


 とりあえずステータスを開きBPを振り分ける。


 □----------------------------------------------------------------□


 ◇ステータス◇


 名前:クオン

 種族:人間族


 Lv:3→4


 HP:550/550 (4)→600/600 (4)

 MP:400/400 (8)→425/425 (8)


 STR 14(14)→17(17)

 DEF 4(4)

 INT 11(11)→12(12)

 RES 4(4)

 DEX 20(20)

 AGI 9(9)→10(10)

 LUK 6(6)


 SP 5→0


 ◇種族称号◇

 ・器用な不器用


 ◇武具称号◇

 ・嘆きの亡者


 ◇装備中称号◇

 ・大鎌を扱い始めた者 Lv3

 ・魔力を扱い始めた者 Lv4

 ・闇魔法を扱い始めた者 Lv3

 ・呪死の隣を歩む者 LV1

 ・群れ狩りする者 Lv1 NEW


 ◇通常称号一覧◇

 ・大鎌を扱い始めた者 Lv3

 ・魔力を扱い始めた者 Lv4

 ・闇魔法を扱い始めた者 Lv3

 ・呪死の隣を歩む者 Lv1

 ・群れ狩りする者 Lv1 NEW


 □----------------------------------------------------------------□


 □----------------------------------------------------------------□


 ・群れ狩りする者 Lv1

 群れを壊滅壊滅させた者の称号

 魔物の群れに囲まれた状態だとAGIとDEX1.01倍


 □----------------------------------------------------------------□


 ついでに新しい称号も空きがあったので入れておく。


 「さっき兄貴がお勧めしてた西にでも行ってみようかね」


 そうぼやきながらゆっくりと西の門へと足を進める。

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