情熱
俺はジョン。転生してもう16年が過ぎた。
ネタみたいに自分が死ぬ未来を変えるために奔走したが、ゾンビに溢れる世界になる運命はどうしたって変えられないらしい。
ならば、抵抗する術を用意するだけだ。幸いにもそれなりのカネと権限を手に入れた。
今日もゾンビへの反抗の準備のために、車に乗り込んだところだ。
ボブに指定された座標をブ・ソアに指定して、自動運転させた。
家のダイナーから出発して、15分くらいで到着した。思ったより近いな。
だだっ広い空き地があって、不法投棄されたよくわからない資材があちこちに積まれている。
「土地の調査資料は先日私が送った通りだ。問題はない。かなり広いが、ゴミをまずは処理する必要がある」
「手配は?」
「済ませた」
ボブにしては仕事が早い。どうやら自分の不倫部屋を作ることに相当な情熱を注ぎ込んでいるらしい。
「建設前に、ステルス処理を施す。スロープ社の子会社に土建屋もあるが、そいつらは使わないつもりだ」
「え、どうすんの? 外注?」
「会社に使われていない22体のアンドロイドがいる。彼らに土建業のコアスクリプトをインストールする」
「なるほど」
「彼ら専用の強化外骨格も手配済みだ。これで好きにお家が作れちゃうぞ! エークセレンッ!」
テンションの上がったボブは飛び上がって喜び、その後腰を抑えながら痛そうにした。
「おいおい」
「けれども現場監督とかディレクションできる人材は必要だな。ジョニーがやるか?」
「専門外だ。社内のツテを当たってみるか」
「それなら私がやろう」
「全部ヤリ部屋にすんなよ」
「無論。え? ここがボブさんの秘密の部屋なんですかー!ってお前の祖母に言わせたいんだ」
「ばあちゃんの何がそこまでいいのか俺にはわからない」
「性欲を先送りするからだ」
「そういう問題じゃないと思うけどね」
俺は車の運転席のドアを開けて、ホロモニターを立ち上げる。
アジトの完成モデルを投影し、あたりの風景と照らし合わせてみる。地上3階建てで灰色のでっかい箱だ。あくまでもこの図は予定されたものなので、今後いろいろと変わっていくだろう。
外壁はバイオコンクリートなので耐久性に優れていて、一度建ててしまえばメンテに金がかからない。
地下は二層になっている。ざっくりガレージとか搬入口をイメージしている。
いやマジででかいな。掃除が大変そうだ。
規模のわりにうちのダイナーから近すぎる気がするが、まあ気にしないでおこう。
The Dead In The Water でも、この地域は特別なのだ。サメリア合衆国西海岸という記念すべき第一ステージだからね。




