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The Dead In The Water 〜ザ・デッド・イン・ザ・ウォーター〜  作者: しじみちゃん
The Dead In The Water: The Beginning Of The End
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転生

 正直、あのイタリア人クビにしたいわぁ〜なんてぼやきながら、がぁーっと働いて、落ち着いたら二週間くらい休みを取る。


 外資系コンサルの俺は毎日そんな感じで働いていた。


 趣味はゲーム。


 早く帰れる日はゲーセンに寄るし、休みを取ったら引きこもってひたすらFPS。

 

 もちろん、TPSやシングルプレイも大好きだ。


 独り身の30代男性の生活としては普通だと思う。


 うん、平穏。


 けれど、この幸せはいつまでも続かなかった。


 客先との打ち合わせから帰る途中のこと、タクシーを捕まえよう待っていたら、正面からクソみたいな女がトロトロ歩いてきて目を奪われた。


 そいつはスマホの下の方を指先でぐるぐるしては上にスワイプしていた。


 そこでポ●モンするなよ…… と舌打ちした俺の感覚は普通だと思う。


 だって、そこ道路の上だよ? ちゃんと横断歩道を渡りなさいよ。歩きスマホをすな。


 案の定、そいつは迫り来るタクシーに気づかなかった。


 今時のクルマは静かなんだ。運転してるのは老害だしね。


 それで、お約束通りに俺は死んだ。


 咄嗟に体が動くことってあるんだね。


 あの女は生き延びられたのかな?







 気付いた時、俺はベッドに寝かされていた。


 目を開けてもぼやけていてよく見えないし、体が重すぎて寝返りを打ったりできない。


 体のいろんな部分が全く制御できず、なんか知らんけどとにかく泣いてしまう。


 俺は赤ちゃんになってしまったようだ。


 なるほど、これが転生というやつか。もう少し視力が成長したらママの顔も見れるんだろうね。


 今はママっぽいそれらしき人が何かを喋っているという事実しかわからなかった。


 俺はちょっとニヤけそうになった。それは、今、お尻から快いウンチが出ているからではない。置かれている状況を理解したからだ。


 転生、素晴らしい!


 ここはやっぱり、剣と魔法の世界なんだろうか?


 ゲームが出来ないのはちょっと辛いが、幸いにも意識と時間があるし、魔法の鍛錬をやるしかない。


 スタートダッシュで周りと差をつけるのだ。


 俺は、とにかく頭の中で魔法らしきものを想像し、捏ねたり編んだり練ったりするイメージをひたすら繰り返した。


 今、驚いたみたいな声が聞こえた。言葉はわからないが、それくらいは分かるよ。


 たぶん、ママは俺の才能にビビってるんだろう。


 ん? なんだ? お尻がすごいスッキリしたな。

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