王国の受難!
「大変です!大変なんです!東の森でスタンピード(魔物の氾濫)が起きました!」
伝令の兵士がまたまた冒頭から、こんどは扉を蹴り飛ばして乱入してきた。
「今度はなんだ!!!?」
「スタンピードと聞こえたが?」
宰相と国王は、ゼイゼイと息を切らしていた兵士を見て少し待ってから尋ねた。
「本当にスタンピードが起きたのか!?」
「はいっ!小規模ではありますが、魔物が数百体王都に向けて進行中との事です!」
宰相は少し考えてから尋ねた。
「魔物の種類はわかっているのか?」
兵士は懐から手紙を取り出すと宰相に渡した。
「これは近隣の領主からの緊急書です!ここに詳細が書かれています!」
国王は手紙に目を通すと、すぐに一筆をしたためて、宰相に渡した。
「これがあれば、大抵の事はまかり通る。緊急事態なため、近衛騎士団を動かし各貴族達にも伝達しろ!」
国王の指令書を発令し、対処に当たらせた。
手紙を預かった兵士は敬礼を取ると、部屋から退出しようとした時に呼び止められた。
「急いでいたのはわかるが、扉の修繕費は給料から天引きするからな?」
「…………はい」
伝達の兵士は項垂れて出ていった。
「まったく次から次へと…………」
「忙しい事ですな」
これがやりがいのある仕事で忙しければ良かったのにと思う二人であった。
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「準備は出来たか!これより、国を民を守るために魔物と戦うぞ!!!」
「「「オオッーーーーーー!!!!」」」
「前回のように人同士の戦いではない!遠慮はいらん!普段の訓練の成果を見せてやれ!!!」
騎士団長は馬に乗り、兵達を鼓舞した。
今度は斥候を放ち、先に魔物の情報を確認すべく先行させ、歩兵とともに魔物の進行方向へと向かった。
「さて、小規模と言っても数百体もの魔物か…………どれだけ被害がでるのか」
負けるとは思っていないが、出来る限りの被害は抑えたいと思っていた。
丸1日が経って、斥候部隊が戻ってきた。
「御報告致します!魔物達は隊列を伴って、迷わずこちらへ向かっているとの事です!」
騎士団長はご苦労と言って労い、斥候部隊の報告を詳しく聞いた。
「魔物はゴブリンやスライム、ホーンラビットといった小型の魔物が殆どで、後方の方にオークやオーガといった魔物が少数確認出来ました」
「そうか、それなら重装歩兵部隊を先頭に立たせ、弓と魔法で攻撃すれば被害を抑えつつ戦えそうだな」
小型の魔物では、鋼鉄の鎧を纏った重装備の兵士を倒すことはできないからだ。まぁ、鎧の隙間からのダメージは通るが、普通に戦えば負けることはないだろう。
「重装歩兵が魔物を抑えている間に、騎馬隊が迂回して、魔物達の横腹を突いて攻撃を仕掛けるぞ!」
騎士団長は的確に作戦を立てていき、指揮官達からも反対の意見は出なかった。
王国軍は、王都へ向かう時にある小さな検問所の所に兵を展開した。いざという時は門を締め逃げる時間が稼げるためだ。そして、検問所の前は見渡す限りの平原が広がっているため、多くの兵を展開し、奇襲にも対応できるのが理由だった。
「もうすぐ魔物がやってくる。焦らず冷静に戦えば勝てる戦だ!心して掛かれ!!!」
騎士団達は前回の失態を払拭するかのように、気合いを入れた。
そして、遂に魔物達が現れた。
「情報通りだな。重装歩兵部隊!前へ!」
重装歩兵が真っ先に魔物と戦った。
ザクッ!!!
ザクッ!!!
作戦通り、鋼鉄の鎧を纏った兵士は魔物をどんどん屠っていった。そして後方から味方に当たらないよう、後ろの魔物に弓隊が大きく弧を描いて弓矢の雨を降らせ、どんどん魔物の数を減らしていった。
「順調だな?伝令!左右に展開している通常兵士の部隊へ伝達!そろそろ重装歩兵が疲れてくる頃だ!交代させろ!」
「はっ!!!」
伝達はあっという間に、向かっていった。
「よし、我々騎馬隊が迂回して魔物の横腹を食い破るぞ!!!」
「「「オオッーーーーーー!!!!」」」
騎士団長を筆頭に、300人の騎馬隊が魔物の側面から縦横無尽に騎馬を突入させた!
「よし!このまま反対側へ抜けたら後方へ向かい、大型の魔物に一撃を喰らわせるぞ!!!」
騎馬隊が魔物の隊列を乱し、指揮官と思われるオーガに向かっていった。
「我が剣を捧げた王国に牙を向く者は許さん!」
騎士団長の作戦と凄まじい剣技に、仲間の騎士団の士気が上がり、大した被害も出ずに魔物達を殲滅することに成功した。
「はぁはぁ、なんとか勝ったか!」
勝鬨を上げて王国軍は勝利を喜んだ。
しかし─
「た、大変です!また東の森から魔物が現れました!数は今の倍はいるそうです!」
喜んだのも束の間で、まだ戦いは終わってはいなかったのだった。
次回、最悪な援軍!
お楽しみに!
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