追放されて初めて森を出るのじゃ~
セバスが来てからシオンは、各集落へと向かった。セバスはお父様に報告があるからと先に帰ってしまった。
まずは裏手にある人魚の入江にて─
「セレス~お久しぶり~!」
シオンがやって来るとセレスと周りの人魚が、ワイワイッとやって来た。
「シオン!久しぶりね?どうしたの?」
シオンは森の近くに人間の街を作っても大丈夫か話した。
「う~ん?私達は大丈夫かしら?修道院の裏の池と、この断崖の入江ぐらいしか移動しないしね~」
「うんうん♪それよりシオンの家族に会いたいなぁ~」
軽いノリで承諾の許可を貰えた。それでいいのか人魚ちゃん達よ?
「でも、人魚の存在がバレちゃうと人拐いに狙われるかも知れないよ?」
シオンが心配している事を伝えるとセレスは答えた。
「確かにいずれは出てくるでしょうね。でも大丈夫よ♪シオンの作ってくれた入江と、樹縛玉があるからね!」
セレスを初め、人魚達はシオンに絶大な信頼を置いていたのだった。
「ありがとうね!」
シオンは人魚達に、今後の対応もしっかりすると伝えて人魚の入江を後にした。
続いて、エルフの集落へやって来たシオン達。
「う~ん…………確かに不安に思う者はいるでしょうね」
族長のイルミナさんが腕を組んで考え込んだ。
「大丈夫ではないですか?そう難しく考えなくても良いと思いますぞ?」
エルフの集落へ来ている龍族の若者が言ってきた。
「我々龍族の者達がイルミナ殿をお護りします!安心してください!」
「まぁ♪」
頬を紅くして両手で顔を隠すように龍族の若者を熱い目で見つめるイルミナさんを見たシオン達……………
あっるぇーーーーーーーーーーー!!!!?
ニヨニヨ………
ニヨニヨ………
ものすごくウザイ顔でシオンは詰め寄った。
「イルミナさん~?」
ドキリッ!?
「な、なんのことですかねぇ~?」
目を泳がせて話題を反らそうとするイルミナが参ったと言わんばかりに叫んだ。
「ああ!もうっ!わかりましたよ!森の近くに街を作るのを許可しますから!もういいでしょう!?」
ふふふっ!若いって良いよね~
(※イルミナさんの年齢は三桁台ですが?)
こうして弱味に付け込んで許可を取り付けたシオン達だった。
次行くよー!
次~!!!
はいっ!
獣人族の村にやって来ました。
「森の近くに人間の街を作るですか?しかも統治されるのはシオン様の御家族なのですか!?」
獣人の代表者達は驚いたが、獣人族の集落では『猫かぶり10枚』の効果で、豊穣の女神様の家族が統治されるのなら大丈夫!信用できるとのことであっさりと許可が出るのでした。
さぁ!最後、次に行くよー!
シオン達は最後に山脈へ来ていた。
「ほぅ!森の近くに人間の街をのぅ?」
人化した龍王のお爺ちゃんが、シオンの言葉に考え込んでいた。
「その街を作るリスクをしっかりとわかっておるのじゃな?」
いつになく真剣な眼差しでシオンを見据えた。
「はい、森の種族が人拐いに狙われる可能は十分に考えております。龍族の方々には抑止力になって頂きたいと思っています」
「うむ、予想通りじゃな。しかし、我らは新参者じゃ。人間達が森の住人に危害を加える場合は、龍族は森の住人の方へ加勢するが?」
「無論、それで構いません!よろしくお願い致します」
暗に、シオンとも敵対する可能性を示したがシオンはそれで良いと承諾するのだった。
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修道院にて─
「シオーーーン!!!もうすぐ出発するわよ~!」
馬車に数日分の着替えと荷物を詰め込み、準備万端でシオンが来るのを待っていた。
「はーい!ごめんねー!お待たせ!」
修道院からドレスアップしたシオンが出てきた。
「…………えっと、誰?」
!?
「私だよ!シオンだよ!シスター服からドレスに着替えただけだから!?」
普段とは違う姿にスピカはシオンとは気付かなかったのだ。
「へぇ~?シオンって貴族っぽいのね?」
「ぽいっじゃないから!いちお!公爵令嬢なんですけど!?」
!?
「そうじゃったの。余りに普段がアレなのでのぅ?」
「そうよね~?」
シオンはそんな二人の態度にプンプンと馬車に乗り込むのでした。
次回、遂に家族との再会!
お楽しみに!
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