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〈第4-1話〉森のドラゴン!?

ようやく旅立つことができたクローム。

襲いかかってくるモンスターたちを一蹴し、進んでいると、倒れている謎の青髪の少年と、そのトリガーと遭遇するのだった。

森に彼らを運んだクロームは、彼の目が醒めるまでの間、焚き火を作って待つことにしたのだった。

 くっそ〜!久しぶりに火起こしをしたためか、なかなか点いてくれない……!


「ぬうううう!」


「まだ点かないの?……っていうか、アタシのバッテリーもなっかなか起きないな……」


 ***


 しばらくして、やっと種火に火が灯った。

 手が汗でビショビショだ……。


「よし! これを……枝に乗せれば……出来た!」


 焚き火の完成だ!

 まだ火は弱いが、ドンドン大きくしていこう。

 大きくなった火は、きっと彼を目覚めさせるカギになってくれるはずだ。


 話は変わるが、俺はあることが気になっていた。


「シャナ、彼はどこに君を装備しているんだい?どこにもそれっぽい奴が無いけど……」


 普通のトリガー、例えば、デュラなら鞘があるはずだし、弓とかでも矢が背中に仕舞われているはずだ。

 だが、彼の身体にはそんなものは見当たらない。


 するとシャナは、その反応がさも「当然だ」というように高らかに笑った。


「はっはっは、まあ無理もないか。アタシ「ヅダルシャナ」は、チャクラムのトリガー。服の上から探しても見つかりっこないよ」


 チャクラム……聞いたことがあるぞ。たしか、南東の大陸に伝わるブーメランのような投擲武器だ。

 そして、暗器……いうなれば、身に付ける武器として有名だ。


「なるほど! 暗器とは、またロマンを感じるなぁ! ……ところで、ついでに聞きたいんだけど、彼の名前って知ってる?」


「コイツ?こいつの名前は「カイン」って呼んであげて」


 カイン……良い響きだ。

 その彼はどこか盗賊っぽくも見える。

 それにチャクラムのトリガー持ちなんて、きっといろんなところを旅していたんだろう。


「……うぅ……ここは……」


 おっと、ついに彼が目覚めた!

 彼はちょっと寝ぼけながらも、辺りを見回している。


「おお、やっと起きたみたいだな、カイン」


「どうして俺の名を……?っていうか、あんたは?」


「俺の名はクローム、クローム・アクセルだ。こっちは俺のトリガーのデュランダル。あと、君の名前はシャナから聞いたよ」


「なるほどな……ってことは、あんたもバッテリーなんだな……」


 彼に何があったんだろうか……そのほかにも、聞きたいことは山ほどある!


「なんであんなところに?」


「……ああ、話してもいいか。あんたもバッテリーだし、俺の名前も知られちまったし……」


 何か渋々と観念したような表情で、彼は静かに語りだした。


「俺は盗賊でな、あちこちを旅していたのさ。ある時、こいつ(ヅダルシャナ)を盗んだときに南東の奴らからずっと追いかけまわされて、こっち(北東)に逃げてきたのさ。……けど、疲れ切って……気が付いたらここに居たんだ」


 やっぱり盗賊か! ロマンのある奴だ。彼にさらに聞きたいことが増えた!


「へえ、盗賊か……カイン、これからはどこを旅するんだ?」


 カインは困った顔をした。

 でも、旅に出たいっていう情熱はそこからも十二分に伝わってくる。


「旅に出ようにも金がなぁ……どうしようか」


 その時、俺の心はロマンの炎にもまれていた……!

 カインと共にいろんな世界を見たい。そんな思いが徐々に強くなってくる……!


「……じゃあ、カイン。俺もその旅に付き合いたいんだけど、どうかな?」


 案の定、カインとシャナと……デュラも驚いている!


「クローム、それ本気なの?確かに旅に出たいとは聞いたけど……」


「アンタ、まだ初心者みたいなもんでしょ?……いいの?カイン」


 俺は正座して、情熱を込めた熱い視線をカインに送る。

 彼はしばらくして、腕を組んで考え込んだ……


「……分かった、今日から俺とお前は兄弟だ!」


「ええ!? ホントにいいの?カイン!?」


「ああ、シャナ。デュラと仲良くしてくれよ」


 ……いよっしゃあ! 旅の最初の仲間……いや、兄貴が出来た!

 俺は嬉しさのあまりに思わず、握手する。


「よろしく!」


「おう、改めて宜しくな。俺の本名は「カイン・レビュート」だ」


 ……さて、まずは何をしようか……うん?

 カインの腕にもリストベルがあるじゃないか!


「カイン、ベルの番号を交換してくれないか?」


「ん、お前も持ってたのか。やろうぜ。」


 ***番号交換***


 よし、できた!初めてだけど、カインのお蔭で上手くいった!


「さて……何処へ行こうか……」


 行き場所が決まらないのは、冒険者あるあるなのかもしれない。

 しかし、盗賊の彼にとっては深刻な問題なのか、思いつめた表情をしている。


「カイン、行くあてがないなら、王都に行ってみないか?」


「王都か……そうだな。行ってみるか」


 よし! 成立だ!

 焚き火を消して、俺たちは再び歩き始めた!

 目指すは、王都「ロイヤル」だ!


 ***


 小道に従ってしばらく進み続けると、ドシン……ドシン……という謎の地響きが聞こえる。

 地震にしては断続的だし、次第にそれは近づいてくる……


「この振動……おい! ……やべえぞ、ドラゴンだ!」


 ドラゴン!? 振動のする方を向くと、そこには……


 巨大な四つの脚、体、そして、大きなアギトとこちらを訝しく睨み付ける眼光……

 それは唸り声をあげて、こちらに今にも襲いかかってきそうだった。


「こ、こいつは……!」


 ドラゴン・オーク……火を吐いたりはしない代わりにその体躯を活かしたパワー系爬虫類だ。

 俺はこの時初めて実物を見たが、でかい……ロマンを感じるが流石に命が惜しい。通常戦闘などしようものなら、俺たちの身体が危ないだろう……三十六計逃げるに如かずだ!


 俺たちは全力で走り出した!


「ねえ! 追ってきてるよ! カイン!」


「クローム、どうするの!?」


 デュラの言うとおりどうしようか……。このまま逃げ続けてもラチがあかないな……



 ……そうだ! あることを思いついた。


「デュラ! あの大木を切れるか!?」


「できないことはないと思うよ!」


「お、おい、何をするつもりなんだ?クローム」


「簡単さ、デュラの力を借りてこの木をドラゴンの進路に倒して封鎖するのさ。そうすればドラゴンも撒けるし、迂回すれば無事に森を抜けられるはずだ!」


「おお、なるほどな! お前のその策に乗ったぜ! シャナ! やるぞ!」


「はいはい、いっちょやりますか!」


 カインの右手には、いつのまにか銀色に輝く丸い円盤があった!


 彼がそれを投げると、それは巨大化して、大きな丸ノコギリと化した!


 俺たちの足に合わせて、彼女は独りでに右翼の木をザクザクと薙いでいく……

 俺とデュラも負けていられないぜ!


「デュラ!」


「ええ!」


 左翼の木々に移り、すれ違いざまに斬りつける。

 思ったとおり木々は真っ二つになり、ドラゴンの進路上へ倒れる。


 それからも斬り続け、せいぜい15本ほどだろう。

 気が付けば地響きが止んでいる……ドラゴンの足が止まったのだろうか。


「……もういいんじゃないか?」


 後ろを振り返ると、そこにドラゴンの姿はなかった……どこへ消えたんだ……!?


「クローム! カイン! 前だ!」


 シャナの言うとおりに前へと振り返る……!

 そこには、いつの間にか回り込んできたドラゴンが、グルルルと声を上げながら、こちらを見ている……!


「あ……ど、どうしようか」


 諦めるのはまだ早い!


「倒した木の上に乗ろう!そうすれば、ドラゴンも下手に動けないはずだ!」


「お、おう!」


 俺たちは、倒れた木々の上をシュタシュタと、跳びながら引き返していく。


 するとやはり、ドラゴンも俺たちを追いかけて木々の上を走ってくるが、四脚であるからかこういう時によろけて、まともに進めないようだ。


「どうだ! うまく動けまい!」


「次はどうするよ、このままだとまた迂回されたら……」


「それは大丈夫さ。ここで二手に分かれてドラゴンを待ち伏せて、通りかかったところで木を倒すって算段さ!」


 上手くいけばドラゴンを倒せるし、少なくとも足止め程度にはなる。


「じゃあ、俺は右の方に行くから、カインは左に!」 「オーケー、死ぬなよ!」


 俺たちはそれぞれ分かれて機会を伺い始めたのだった……!

カイン「クローム、ロマンってのはなんだ?」


クローム「ロマンっていうのは、男の取らなきゃいけない栄養素の一つさ」


カイン「ホントかよ、知らなかった……」


次回も楽しみにしていてくれ!

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