表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/38

〈第17-2話〉嫌な予感

ラグナスを目指し、長い行列に並ぶクロスレギオンズ。

雑談をしていると、突然のシュタールラントの鎖国に疑問を抱く4人であったが、深く考察する前に順番が来たのだった。

そして、魔将……ギャラクスを討つべく一行は飛行船に乗り込んだ。

 まだ出発してから一時間程度しか経っていないが、この耳のキーンとするのにも慣れてきた。



「よくよく考えてみるとすげえよな。俺たち、座って空飛んでるんだぜ?」


 何を今更……と、思ったが彼は浮遊魔法が使えなかったか。

 にしても、ヒマだな……


「砂漠か……」


「どうしたの?グリダ」


「なに、大したことじゃないさ。シユウ。砂漠で私たち四人の中で、誰が一番有効かなってね」


 また変な話題を……これでは列車の時の二の舞ではないか……


「ふーん……砂漠って暑いイメージだからロン辺りかしらね」


「えっ!?」


 何……?列車の時は、相当非難していたはずのロンの名前を真っ先に挙げたぞコイツ。


「おや、自推はしないのかい?」


「もちろんするよ。電気は何処でも使えるんだから。でも、フツ―に考えるならロンじゃないかしら?」


 ……バカなのか、他のトリガーを割と見ているのか分からんな……。

 ロンの技的に考えて、「厚い外皮を持つ砂漠の奴らを貫く」という意味では理に適ってはいるが……。


「ボクの出番はあまり無さそうだね。高温に強い相手がいるなら、斬るしかないし……」


 たしかに。自慢の炎も外皮に防がれてしまうだろう。

 外皮を切り裂いてから、炎を撃てば何とかなりそうではあるけど。


「……なんか変じゃない?」


「どうした?」


 フレイとアルバスは空を見上げている。


「……別に何もおかしくはないと思うが……」


「そう?……何か嫌な予感がするの」


 嫌な予感……? 私とハインドも窓を覗く。


 しかし、そこには普段と変わらない青空と、所々に雲があるようにしか見みえない……

 周囲に大きな雨雲があるわけでもないし、竜巻があるわけでもない。


 とてもじゃないけど、何かが起きるようには思えないが……


「気のせいじゃないか?」


「かな……?」


 席に戻ろうと、窓を離れたその時だった……!


「……! 今の声!」


 突然、フレイが驚愕の声を上げる……

 思わず私は、心臓がキュッとした……。


「今度はどうしたの……?」


「聞こえないの? 今、翼竜の声が……!」


 はぁ? 仮に飛龍だとしても、こちらを襲ったりはしないだろう。

 そんなことをすれば、すぐに五大国が手配を出して抹殺する……私が仮にモンスターだとしたら、絶対に避けたいヘマだ。


 ギャアオオオオン……!!


「お、おい、今の……!」


「聞こえたでしょ!?」


 確かに翼竜の鳴き声だ……!

 いや、それも只の声じゃない。相当気が立っているようだ……!


「落ち着いて、みんな! モンスターはこちらから刺激しない限り何もしてこない!」


 まずは落ち着こう。取り乱すのは何事でも一番まずい。


「そ、そうだよな。ははは……」


 場が平静を取り戻しかけ、椅子に着こうとした……



 ドシン!! ……という衝撃音と共に、船が上下に激しく振動する……!


「きゃあ!」


「おおう!?」


 フレイとハインドが態勢を崩した。

 その時、何が起きたのかはすぐに察知ですることができた。


 翼竜が甲板の上に乗っている……! それも、かなりでかい……!

 いったい何の真似かは知れないが、攻撃の意図はここからでも掴めている。


「……みんな、甲板に上がるよ!」


 何かまずいことをされる前に、一刻も早く翼竜を討つ。

 幸いにも、私の持っているアスカはドラゴンスレイヤ―だ。まさかこんな時に出番が来るとは……!


 ドアを開け、廊下を走る。


「お、お客様、どこへ……?」


 乗務員は真っ青な顔をしている。

 彼らも、この事態に何が起きているのかは大体掴めているみたいだ。


「甲板に行きます」


 すると、乗務員は私たちをいかせまいと、通路に立ちふさがった。


「い、いけません! 甲板には大型の飛龍が……!」


「わかっています。だからこそ行くんです」


「し、しかし……」


 必死に制止する乗務員……

 このままあの飛龍を野放しにする方が、よっぽど危険だというのに……


「行かせてやりなよ。オイラもついてく」


 乗務員の後ろから声が。

 塞がれてよくは見えないが、黒髪で褐色の肌が見える……ラグナスの人だろうか。


「な……君は……」


「ほら、通してやりなよ。このままアイツをほっとくのかい?オイラは望まないよ」


 正論を叩きつけられた乗務員は、渋々と道を開けた。

 そこには、背中に杖のようなものを背負った黄色い瞳の少年が立っている。


「やあ、少しの間共闘させてくれ。ロイヤルの戦士たち」


 あの国の特徴的な服装に、独特な帽子……間違いない、ラグナス人だ。


「さあ、行こう。時間が惜しいだろ?」


「え、ええ」


 彼が何者かはとにかく、今は飛龍を倒すことが先決だ。

 廊下を走り抜け、階段を上がる。


 そして、甲板と客室を繋ぐ扉を開いた……


 青と白の鱗を陽に当てて、美しく輝かせている大きな飛龍が待ち構えている……


「な、あ、あいつは……!」


 ハインドがその姿を見て狼狽する。


「ワイバーン・バルカン……!」


 大型の翼竜で、普通なら飛行船を襲ったりはしないはずの大人しいモンスターだ。

 しかし、目の前の個体はどう見ても気が立っている……!


「アルマ、あのでっかい竜をやるのか?」


 聞きなれない声……少年の杖から声が聞こえる。

 ……もしや、バッテリーか?


「そうさ、ヘカ。いつものでやるよ!」


「へっ、無茶言うね!」


 彼は杖を振りぬいた。

 すると、彼の前に魔法陣が発生する……!


「風よ、大気よ、虚空に潜む者へ呼びかけよ。我が元へ舞い降り、暴風で敵を討ち、神風で我を守りたまえ。 解き放て! そして顕現せよ! 疾風の化身、トルマータ!」


 詠唱が終わると、杖先から下半身が竜巻のような渦を巻いている怪人が現れた……!


 ヒュルルルルル……!


「あの精霊は……!」


 あの風切音……! ラプラタ戦争で幾度も目にした精霊だ。

 砂嵐を引き起こし、軍の進撃を妨害し続けたあの厄介な化け物……。


「お、お前、精霊使いなのか!?」


 ハインドが驚くのも無理はない。

 こんな子供があれほどの精霊を……普通ではありえない……!


「そんなに驚くことかな? それより、あのドラゴン、こっちに気付いたみたいだよ」


 ギャアオオオオオオォォォォォン!!!


 飛龍はこちらを向いて、けたたましい咆哮を放っている。

 分かってはいるが、すごいプレッシャーだ……!


「……いつまでも見てないで、早くあたいたちも行こうよ!」


 ッチ、シユウに言われるとはな……

 まあいい、今のあの国は敵ではなく味方だ。


「いくよ、みんな!」


 一足遅れて、私たちもトリガーを振り抜く。


「アスカ、今回は頼むぞ!」


「わかってる! ドラゴンスレイヤーとして頑張るよ!」

シユウ「次はアスカの無双回になりそうね……」


グリダ「だな。ドラゴンスレイヤーというくらいだし」


アスカ「え、ええ……なんかすごい期待が……」


ロン「ちょっと、私たちがサポートしないとダメなんじゃないの?」


アスカ「あ、ああ。ロン、みんな、頼む!」


シユウ「お願いなんてしなくても、無双なんてさせるつもりは元からないし!」


次回もお楽しみにね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ