2/7
麦打ち唄
カラスがつつく 鏡の泉
ちょいと一杯 水でもいかが
喉うるおせば カァカァ鳴いて
もひとつどうぞと 黒い羽根
ストローにして 差し出した
サァ ヨイヨイ 良い日さ
うっちゃれ うっちゃれ
お天道様が 空からみてる
――――――――――――――――――――――――――
昼食後、みんな一気に打ち解け、和やかな雰囲気で作業を再開したが、オリバーはふらふらに酔っぱらって、もはや麦打ち棒を振るえないほどだった。見かねた聖輝がオリバーから麦打ち棒を引ったくった。道具を失って手持無沙汰となったオリバーはジョシュアとともに箸で穂をしごいていたが、そのうちに船を漕ぎ始めた。聖輝は苦笑いを浮かべて、藁くずだらけの筵の端にオリバーのからだを転がした。
エミリが節をつけて麦打ち唄を歌い始めた。すぐにナタリアも調子を覚えて一緒に歌い出す。
――――――――――――――――――――(第一章「麦打ち」より)――――――